教員 (戸川) よりメッセージ
新年度のご挨拶(2020年4月)
大変難しい社会情勢が続いております。4/10には研究室への新4年生の配属発表がありましたが、直接顔を合わせることが叶っておりません。例年なら、歓迎会とteach-inにてスタートを切り研究活動へと気持ちを盛り上げていくのですが、大変残念なことです。ともあれ、新4年生は配属おめでとうございます。歓迎いたします!理系の学生にとって研究生活は大学での醍醐味となります。心身ともに健やかに過ごすことを第一に心掛け、ともに切磋琢磨して参りましょう!研究室はそのためのとても良い枠組みとなりえます。大いに活用しましょう。
現在、大学への入構が制限されています。このような状況ですので、残念ながら、学業および研究が思うようには進まないと懸念されます。学生のみなさんはこの機に得意分野を一つ作るようにしてみてください。研究室が専門とする物性物理は論理思考を鍛えるのに役に立ちます。電気回路や電子回路は電物出身として求められる知識です。
今しばらく難しい時が続くことが予想されます。みなさまがたがどうぞ健やかにありますように、お変わりありませんように。 一番上に戻る
昇任のご挨拶(2018年4月)
この4月より大阪府立大学・工学研究科・電子物理工学分野の第一講座・量子物性研究グループ を主宰することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
第一講座は初代の竹本将先生(1964-1975)、2代目の斉藤紹三先生(1977-1989)、3代目の奥田喜一先生(1991-2001)、4代目の石田武和先生(2002-2017)と続いてきました。これからも魅力ある研究成果を発信してまいりたいと思います。引き続き、ご指導とご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。 一番上に戻る
異動のご挨拶(2014年1月)
この1月より大阪府立大学・工学研究科・電子物理工学分野においてテニュア教員として独立の研究室を運営しております。どうぞよろしくお願いいたします。
私は学生の頃から数えて4回研究場所を移り、その度に研究内容を変えてきました。環境などを大きく変えることには不安を感じるものですが、そのたびに新しい世界に触れる面白さに駆り立てられ研究を進めてきました。研究の醍醐味のひとつは発見の瞬間です。「世の中で自分しか知らない」どんな些細なことでも、発見の瞬間に立ち会うととてもワクワクします。その瞬間に巡り合うため、新たなことを着想し挑戦し失敗も重ねながら、研究を楽しんでいます。
これまで実験を主体に研究を進めてきました。つくづく感じるのですが、ものごとの本質を照らし出す実験を行うのは本当に難しいです。自分でよく考え、工夫を重ね、ある種のこだわりをもって、実験を行う必要があると思います。また、独自の実験技術を開発することもとても重要だと学びました。その反面、まずはやってみようという気持ちの軽やかさもとても大切です。ともあれ、あれこれ苦心しながら実験を重ねていると、時折、おもしろい自然現象に巡り合うことができます。
研究を進める上で、周りの人とお話しすることはとても勉強になります。お話しするたびに、自分がいかにものごとをわかっていないかを痛感します。「自分の言葉で話すこと」これはとても大切であり、とても難しい。あらゆる角度からものごとがわからなければ、本質を理解するには程遠いからでしょう。研究ではわからないことばかりに出くわします。まずは先入観を捨てて実験事実をありのままに説明する。すると、だんだん整理され、見えてくる世界が広がってきます。
ですが、一人で見えること、思いつくことは限られたものです。ありがたいことに世界には多くの人がいて、自ら機会を求めるといろいろな人とお話しすることができます。会話からいろいろなアイディアが湧き出し、思いもよらない展開をもたらすことがあります。いかにアイディアに気が付き、形にしていくか、その過程を体験することができます。このような有機的な広がり、これも研究が楽しい理由のひとつです。
他にもいろいろと良いことがありますが、人とお話しすることは研究を進めるためのひとつの近道です。研究室はそんな会話を行うための小さな枠組みです。メンバーみなが自由に話し合う環境であることが理想だと思います。
同じようなことは世の中にもあてはまるでしょうか?研究を仕事、勉強、遊び・・・などに置き換えてみると。私自身はなかなか実行できていませんが、研究活動の体験を通じて、ものを柔軟に多様に考える心を育めるんじゃないかと思っています。それはきっと “生きる力” そのものになっていくはずです。研究それ自身は楽しいものですが、ごくごく狭い世界の話にすぎません。研究活動が心の豊かさを養っていくような機会になればよいと思います。
少し話が逸れました。電子物理工学分野への異動は私にとってまた新たな挑戦の始まりです。「共に楽しんでみたい!」という方はぜひ一度研究室にいらしゃってください。まずはいろいろお話ししてみましょう。
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テニュア・トラック教員での活動(2013年12月)
大阪府立大学には平成21年1月にテニュア・トラック教員として赴任しました。あっという間に任期の5年が経ち、テニュア教員として活動を行う機会を大学より頂きました。着任した初日を思い返しますと、研究室にあるのは机とイスがひとつずつ。ほぼゼロからスタートでした。その頃ちょうど学内では建屋間での引っ越しが多い時期でしたので、机や棚などをいただく機会が多く、スタッフの皆さんや同僚・学生たちと物品集めに奔走したのを思い出します。
テニュア・トラック制度は大阪府立大学における新しい試みでしたが、ありがたいことに学内外の関係者から多くのご支援をいただきました。また、テニュア・トラック研究室への配属を果敢に志望してくれる学生達の猛烈な頑張りもあり、研究活動を軌道に乗せることができたと思います。
嬉しく思うのは、大阪府立大学で新たに取り組んだ研究が大きく育ちつつあることです。キラル磁性体を用いたスピンエレクトロニクス研究は研究室の中核テーマとなってきています。この研究プロジェクトに関しては、我々のような視点を持った研究の取り組みは世界的にも見あたらず、新しい分野を開拓できるのではないかと楽しみにしています。
新しい取り組みが学術・産業界からの評価を得るにはまだまだ時間がかかると思います。ですが、意欲的な研究活動の試みを応援していただける仕組みが世の中に数多くあることは誠にありがたいことです。今後も大阪府立大学発の新たな研究に取り組んでいきますので、皆様方からのより一層のご支援をお願いする次第です。