主な研究内容
私たちの研究室では、電子材料の合成プロセスおよび基礎物性、 さらにこれらを応用した電子デバイス物性に関する教育研究を行っています。
特に“新未来材料!ナノカーボン“に着目して、 カーボンナノチューブやグラフェン、カーボンナノコイルなどの合成プロセスの研究、さらにこれらの新素材を活用し、暮らしに役立つ低環境負荷のエレクトロニクスデバイスや安心安全な社会を提供するためのセーフティデバイスなどの研究開発を推し進めています。
また、“ナノ空間を創作するナノエンジニアリング構築!”をキーワードに一つ一つのナノチューブを高度に加工アセンブルするプロセス技術を研究し、ナノカーボンの基礎物性評価を始め、ナ ノチューブを用いたナノサイズのスライダ、ベアリング、ヒータ、アクチュエータ、マニピュレータ、センサ等のナノツールやナノセンサデバイスの構築、 さらにはこれらを用いたナノ電子機械システム構築を目指して研究を推進しています。
主な研究テーマ
モード結合によるナノ電気機械共振器の制御
ナノ電気機械共振器による単一光源の制御
熱流を制御した熱デバイスの創成
二次元原子層を用いた熱・電気制御と熱電変換効率の高効率化
同期発光現象によるナノ粒子の集団輸送
ナノファイバー上の光子ネットワークの評価
低次元材料デバイス研究グループ
従来の3次元材料の限界を打ち破る可能性を秘めたカーボンナノチューブや原子1層からなるグラフェンが実現されて以来、新しい低次元系材料が提案されてきました。本グループではこのような新しい素材により従来の技術では実現不可能であった超高感度センサや高性能デバイスの実現にチャレンジします。この究極のナノ材料は高機能な電子的特性を併せ持ったナノスケールの機械要素にもなります。ここで、原子層を利用したナノ電気機械システムは従来技術・材料で作成されたものよりも低エネルギーでかつ高速で動作可能となります。このような特徴を生かしフェムトニュートンオーダー(10-15 N)の極高感度力計測の実現を目指しています。このような極高感度力検出はこれまで不可能であった物質と様々な場との相互作用力の検出に貢献します。また、この中で機械的共振器はフォノンをベースにした量子素子として考えることができ、複数のナノ電気機械システムを結合させたものは疑似的な量子回路とみなすことができます。このような特徴を生かし次世代の計算機である量子コンピューティングの世界にチャレンジします。
量子フォノニクス研究グループ
熱は古くから良く知られている物理量ですが、特にナノ材料中の熱の流れについては今なお正確には分かっていません。特に最近ではエネルギー問題の観点から、排出している膨大な熱エネルギーを再利用しようという試みが多くなされており、ここでも材料中の熱の伝導が大きく関わっています。本研究グループではナノ材料、特に二次元原子層材料(グラフェンや六方晶窒化ホウ素など)に焦点を当て、熱伝導を担っているフォノンを「見る」、「操る」、「利用する」ことを目標に研究に取り組んでいます。具体的には、同位体や欠陥、周期的な空孔などによりフォノンの伝導を大幅にコントロールし、熱電変換や、断熱、熱ダイオードといった熱マネジメント材料への応用につなげていく研究を行っています。
量子ナノ光物性研究グループ
物資の「状態」やそれに付随する「情報」を制御するツールの一つに光があります。現在まで光を用いた素子(光デバイス)は数多く開発され、我々の生活を支えています。本研究グループでは、光の持つエネルギー・キラリティ・空間構造・量子性を光子レベルで使い倒し、光デバイスの性能のさらなる向上や新機能の開拓を目指して理論的研究を行なっています。対象とする物質も、二次元原子層材料を含む半導体・金属構造から分子まで幅広く、マルチスケールの物質と光との相互作用について体系的に努めています。エレクトロニクス・磁気光学・化学・光学を有機的に連携させることで材料の物理的理解からデバイス提案までを進めることで、次世代の量子ナノデバイス開発に貢献します。