研究内容
0. 研究のコンセプト
近年のバイオテクノロジーの進歩にともない、核酸、タンパク質、ペプチドなどのバイオ医薬品が多数開発されており、これらを用いたがん治療、遺伝子治療、再生医療、ワクチンなどの次世代医療が実現されつつあります。これらのバイオ医薬品の多くは、標的細胞の内部に入ってはじめて薬効を示しますが、多くのバイオ医薬品は、それ単体では細胞膜を透過することはできません。したがって、これらのバイオ医薬品の効果をさらに高めるために、バイオ医薬品を疾患部位に集積させ、治療標的となる細胞内に導入する、薬物送達システム(Drug Delivery System, DDS)の開発が求められています。
私たちは、脂質、多糖、核酸、ペプチド、タンパク質などの生体分子に加えて、合成高分子や金属ナノ粒子などのナノマテリアルを駆使して、バイオ医薬品の薬理活性を最大化し、副作用を低減する高機能DDSを設計しています。化学の観点から、これらのDDSを合成するとともに、細胞レベルや小動物レベルでそのバイオ機能を評価し、得られた結果をDDSの分子設計にフィードバックすることを繰り返して、DDSの高性能化を図るとともに、がん・自己免疫疾患治療のための、新しい医療技術の創出を目指しています。