会長挨拶
The 5th Annual Meeting
of Japanese Society for Phage Therapy
- 第5回日本ファージセラピー研究会研究集会 -
大会長挨拶
第5回日本ファージセラピー研究会を開催するにあたり、皆様の日頃からのご支援に深く感謝申し上げます。
薬剤耐性(antimicrobial resistance;AMR)菌による死亡者数は、何の対策もされなければ2050年には癌を凌ぎ、世界で1,000万人を超えると推定されており、国際的な医療問題として認識されています。しかし、新規の抗生物質開発は非常に困難で、代替治療法の創出が急務です。バクテリオファージ(ファージ)は、細菌に感染するウイルスで、宿主細菌に感染して増殖し殺します。この能力を用いて細菌感染を制御する「ファージセラピー」が、昨今注目をされています。しかし、生きたウイルスを用いるファージセラピーは様々な点でハードルが極めて高く、ヒトに対する実用化は日本では遅々として進んでいません。この様な背景の元、ファージセラピーの社会実装を目指し、日本ファージセラピー研究会が2021年に発足しました。2050年問題に対応できる様に、ファージセラピーの研究開発を活性化し、企業、国などの公的機関との連携や実用化の道筋を切り拓く「場」を作る目的で2021年11月13日に第1回研究集会を開催し、その後毎年研究集会を行なっています。第5回を迎える本研究集会は、日本においてファージセラピーを社会実装するのを阻む多くの課題を共有し、その解決策を探ることを目的としています。国内のファージ研究者が一堂に会して学際的な叡智を結集するだけでなく、米国において患者へのファージ療法を初めて実践したUniversity of California San Diego校から国際的に最先端を走る研究者を招聘し、最新の知見を共有します。2050年の薬剤耐性菌問題に対して、安全・安心かつ効果的な世界基準となるファージセラピーをこの日本で実現するための起爆剤となる研究集会としたいと思います。
第5回研究会は、2025年11月7日(金)に大阪市・あべのハルカスにて開催いたします。今回のテーマ「ファージ療法の実用化に向けて」は既存のファージ療法だけでなく、次世代シークエンス技術を基盤とした応用研究、改変ファージ技術など、ファージ学・ファージセラピーの将来を見据えたものです。各分野の研究者が活発に議論し、知識を交流する場となることを強く期待しております。
多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。