研究内容の紹介
産業医学教室で実施している研究の概要
当教室では、生活習慣病の予防対策を目的とし、大規模前向きコホート研究からのエビデンスを発信してきました。「職域を中心とした生活習慣病の大規模疫学研究」では、職域の健康診断の結果を用いて生活習慣病、特に2型糖尿病、高血圧症、慢性腎臓病、脂質異常症などの予防対策について研究を行っています。 「糖尿病の疫学研究」として、この分野において世界的に有名な前向きコホート研究である米国ワシントン州立大学の米国日系人糖尿病研究に2001年より参画しています。また、米国日系人研究を発展させた日本版の研究を立ち上げて研究を行っています。
01職域を中心とした生活習慣病の大規模疫学研究
(大規模前向きコホート研究)
生活習慣病の発症予防のエビデンス研究として、職域を中心とした疫学研究を行っています。職域での健康診断という我が国独自のシステムを利用した大規模前向きコホート研究です。 職域における就労期の生活習慣病、特に2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症、慢性腎臓病などの新規発症の危険因子に関する研究を行っています。
The Osaka Health Survey
The Osaka Health Surveyは、職域のコホート研究として日本のパイオニア的な前向きコホート研究です。The Osaka Health Surveyは、1981年に開始し、現在も継続中の研究です。対象者は、大阪ガスの従業員で、約1万人です。 このコホート研究より、糖尿病・高血圧症を中心とした生活習慣病の予防のエビデンスを発表してきました。
The Kansai Healthcare Study
The Kansai Healthcare Studyは、The Osaka Health Surveyとともに、職域のコホート研究として日本のパイオニア的な前向きコホート研究です。 2000年に開始したNTT西日本との共同研究で、対象者はNTT西日本の関西健康管理センタの管轄の従業員約1万人です。この研究も現在も継続中です。このコホート研究より、糖尿病・慢性腎臓病を中心とした生活習慣病のエビデンスを発表してきました。
02米国日系人の生活習慣病に関する疫学研究
The Seattle Japanese-American Community Diabetes Study
(米国日系人糖尿病研究)
The Japanese-American Community Diabetes Study (米国在住日系人糖尿病研究)は、1983年にワシントン州立大学のWilfred Fujimoto教授(現名誉教授)が開始した 糖尿病に関する世界的に有名な前向きコホート研究です。このコホート研究は世界で最初にCT撮影で腹部内臓脂肪を評価した前向きコホート研究でもあります。 この研究からは多くの学術論文が報告されて、世界の2型糖尿病の予防に貢献してきました。我々の教室では、2001年より参画し、現在、この研究の中心的役割を担っています。
03米国日系人研究を発展させた日本版の研究
(産業医学分野の人間ドック)
The Ohtori Study
The Japanese American Community Diabetes Studyを発展させる形式で2005年に開始した前向きコホート研究です。肥満は全世界的に増加傾向にあり、2型糖尿病・高血圧症・脂質異常症・メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の最も重要な危険因子です。 日本人は、欧米人に比べて、脂肪の分布のうえで、皮下脂肪より内臓脂肪が蓄積しやすい民族であるとの報告もあります。 内臓脂肪の疫学研究は、わが国において重要な研究テーマです。教室では、CT撮影を用いた腹部内臓脂肪を初めとした全身の脂肪分布と生活習慣病に関する多目的大規模コホート研究(The Ohtori Study)を立ち上げて研究を行っています。
04地域の病院や行政や臨床教室との共同研究として行っている・行ってきた研究
この他にも、現在立ち上げ中の疫学研究があります。