探究する面白さと社会的意義の両立を目指して
人と接する仕事がしたいと思い、理学療法士を志しました。保健師として働く母を見て育ったので、医療職を身近に感じていたのかもしれません。現在は、老年医学や運動疫学の領域を専門として研究・教育に携わっています。主に取り組んでいるテーマは、社会で支える健康づくりと介護予防です。
私が研究の道に進んだのは、学部時代に出会った先生たちがきっかけでした。教科書に書かれていることを教えるだけではなく、一人ひとりが自分にしかないストーリーを持っている姿に憧れたのです。私自身も昔から、自由研究などで自分だけのストーリーを組み立てていくことが好きでした。研究もその延長線上にあるような気がしています。
個性豊かな先生たちの中でも、特に私が多大な影響を受けたのは、学部4年生のときに出会った山田 実先生(当時は京都大学助教、現在は筑波大学教授)です。当時の理学療法学研究ではあまり注目されていなかった認知機能や栄養状態といった視点を取り入れ、次々と新たなテーマを切り拓いていった山田先生は、私だけでなく後進に大きな影響をもたらしました。学会でのプレゼンテーションなど、研究の見せ方も従来の方法とは全く違っていて、衝撃を受けたことをよく覚えています。
山田先生のように、自分にしかないストーリーを組み立てて、オリジナルの評価や介入の方法を作り上げていきたい。そんな思いで大学院に進んだ私でしたが、研究を始めた頃はどこか自分自身の興味・関心を優先していたところがあったように思います。しかし、自治体の担当者や地域の高齢者の方々から直接お話を伺う中で、自分が興味のあるテーマを探求するだけでは社会の役に立つことはできない、もっとニーズに応えられる研究がしたい、と考えるようになりました。
現在は、学生時代の私が先生たちの影響で進路を決めたように、多くの人が周りの影響を受けて行動しているはずだと考え、社会環境や人とのつながり・交流の影響を利用して、個人の健康や行動をサポートするアプローチを模索しています。これからも探求する面白さと社会的意義を両立させ、研究に取り組んでいきたいです。
家族のためにできることは?介護予防・フレイル対策のためのヘルスリテラシー向上を考える
プロフィール

リハビリテーション学研究科 リハビリテーション学専攻 准教授
リハビリテーション学研究科 リハビリテーション学専攻 准教授
博士(リハビリテーション療法学)。京都大学医学部保健学科卒業、京都大学大学院医学研究科修士課程修了、名古屋大学大学院医学系研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、名古屋大学未来社会創造機構特任助教、富山県立大学工学部教養教育センター講師を経て現職。国立長寿医療研究センター外来研究員。理学療法士、専門理学療法士(生活環境支援理学療法)。
※所属は掲載当時