所長挨拶

都市科学・防災研究センター所長

重松 孝昌

世界の都市部で暮らす人口は増加の一途をたどり、2050年には世界人口の約70%が都市部で生活するようになると予想されています。多くの人が集えば資産や情報が集積し、異なる価値観が相互に刺激しあって新しい視点が生まれ、ますます社会は発展していくことでしょう。しかし、ひとたび都市が想定外の災害に見舞われれば、たちまちに多くの人命・財産を失うことになり、多様な価値観があるが故に新たな課題が生まれてきます。また、食料やエネルギーをはじめとする多くの物資が必要となります。すなわち、都市が抱える課題は人類が抱える課題そのものであり、都市の持続可能性を考えることは世界の持続可能性を考えることに他なりません。

一方、日本国内に目を向ければ、人口減少と共に少子高齢化がますます進み、生産者人口問題・高齢者問題・貧困問題・在留外国人対応など、多岐にわたる課題に直面することになります。

都市科学・防災研究センターは、都市の持続可能性の追求や課題の解決に資する科学的知見の深化と理論の発展に努め、これを担う第一線の人財を育成するとともに、学知世界のみならず都市で活動する人々との協働をとおして、包摂的かつ安全・レジリエントな都市の実現に貢献し、その拠点としての役割を果たします。都市大阪における調査研究を通して都市科学の研究を推進し、その成果が日本のみならず世界の都市で活用されるよう諸都市と連携して実践していきます。また、自助・共助による都市防災・減災の仕組み「コミュニティ防災システム」を社会実装することで、都市社会の持続可能性の向上に資する教育研究拠点の役割を担います。

多様な分野の専門知の結び・紡ぎ・融合に積極的に取り組み、都市シンクタンク機能の一翼を担うことによって、本学の社会貢献に寄与してまいります。