UReC アーカイブズ
UReCでは(旧)大阪市立大学・都市問題資料センターの設立(1981年)以来、文学研究科の21世紀COE(2002-2007年)、都市研究プラザのグローバルCOE(2007-2011年)等の拠点事業を通じ、貴重資料の寄託をうけて管理してきました。代表的なアーカイブに以下のものがあり、地域連携センターの西成情報アーカイブ事業にもその一部を提供しています。
上田貞治郎写真史料アーカイブ
上畑宣恵釜ヶ崎写真アーカイブ
釜ヶ崎資料センター(旧蔵)資料
小島宗治空中写真
その他
※写真等のご利用にあたっては添付の申請書をご提出ください。
上田貞治郎写真史料アーカイブ
20世紀初期の写真業界を牽引し、明治期の古写真コレクターでもあった旧上田写真機店社主である上田貞治郎(1860-1944)が遺した、数千点の文書および写真史料群からなる。当時の泉北郡、諏訪之森駅前にあった上田貞治郎本宅一階に設置された「上田文庫」旧蔵品としては基督教資料・写真資料が知られているが、とくに前者は大量に戦災焼失し、散逸史料も少なくない。都市研究プラザ開設時に上田家から遺蔵品の寄託をうけて、当時COE事業で在籍した若手研究員の後藤真・緒川直人・水谷清佳らが多様な視点から研究してきた。
主な資料群
- 上田貞治郎日本全国名所写真帖コレクション(アルバム20冊)
植⺠地朝鮮を含む旧帝国日本の領土をカバーする景観写真約1800点を収録。写真師 和田猶松・野々村藤助・光村利藻ら明治期の作品群、明治期の「中之島剣先大阪ホテルの屋上より展望したる大阪市全景」から昭和初期の「西北部・築港大水害」(室戸台風)を含む。 - 上田貞治郎撮影都市大阪ネガフィルム・アルバム 1927-1928(約百点)
昭和2-3年頃撮影の名所現況として、上記アルバムに今昔対比のためプリント採録されたネガが多数ある。 - 梅田界隈都市写真シリーズ 1935(30点)
昭和10年に区画整理のはじまる大阪駅前市街地改造事業(現在のダイヤモンド地区)、地下鉄御堂筋線の延伸および国鉄の高架化と2代目大阪駅舎の取り壊し前後をとらえた記録写真。 - 現物史料(数百点)
上記のほか旅行・家族アルバム・記念写真帖・絵葉書セット等、カメラ・付属品・映写器具、フィルム・写真・ネガ・ガラス乾板等、書籍・雑誌・刷物・その他文書類、貞治郎自筆日記(1906-1942年分, ただし1914-1925他欠)がある。
最近の利用申請・提供実績
広島城企画展「写された広島城: 写真に残された城のヒストリー」2022年9月
大阪市北区役所「北区マップ」2022年3月(改定発行版・表紙)
大阪市西成区「新今宮ワンダーランド FEATURE ワンダー05 新世界の古く新しき世界。娯楽の街、新世界の100年」2022年3月
関西大学人権問題研究室『室報』第68号 2022年2月
大阪市北区「パノラマで見る梅田・中之島 まちなみ古写真展・公開講座」2022年1月
鴻池組大阪テクノセンター館内展示「創業の地・伝法」2021年11月
吉村智博『大阪マージナルガイド』解放出版社 2021年9月
住吉公園『歴史探訪』第11号「上田貞治郎写真コレクション所収の住吉高燈籠」2021年6月 ほか多数
おおさか創造千島財団『paperC 特集 REPORT:大阪のロジスティクスを歩く』2021年2月
大阪市北区「わがまち北区 写真でたどる北区今昔 其の七 大阪駅前」6-7面 2020年11月ほか多数
大阪市史料調査会「大阪市史編纂所だより」第54号 2020年3月
毎日新聞「”幻の”木津川灯台で「しま模様」確認 大阪市大に写真」 2019年6月3日
上畑恵宣釜ヶ崎写真アーカイブ
西成労働福祉センターの元職員である上畑恵宣(1932-2013)が1963年にセンターに就職して以来、1992年の定年退職まで30年間を通じて記録された写真ネガフィルム・アルバム73点、約3,000枚分およびプリント(一部)、VHSビデオ記録28本分からなる。就労の斡旋や相談業務のかたわら、日雇労働者の姿や簡易宿泊所が並ぶドヤ街、寄せ場を通時的に撮影してこられた。2008年にご本人から当時、都市研究プラザ教授の水内俊雄(西成プラザ)に託された。
主な資料群
- 1960年代ネガフィルム・アルバム29点、約1,600枚
- 1970年代ネガフィルム・アルバム20点、約650枚
- 1980年代以降ネガフィルムアルバム20点、約790枚
- VHSビデオ(センター窓口業務、釜ヶ崎イベント、暴動ニュース、ドキュメンタリー、早朝の寄せ場、街の風景、就労現場など)28本
最近の利用申請・提供実績
吉村智博『近代大阪の都市周縁社会 公共性と差別』近現代資料刊行会 2022年5月
萩之茶屋地域周辺まちづくり合同会社「萩まちだより」第33号(今宮住宅特集)2022年5月
TV東京ガイアの夜明け「今...なぜそこにホテル?」第1012回 2022年4月29日
大阪市西成区「新今宮ワンダーランド HISTORY 日雇労働者の街 釜ヶ崎の歴史」2022年3月
全国古民家再生協会『じゃぱとら』特集「大阪府大阪市西成区山王」2021年11月
毎日新聞「岐路の風景:釜ケ崎「夏祭り」半世紀」2021年9月4日
関西テレビ報道ランナー「釜ヶ崎」を50年間撮り続けたカメラマン 2019年5月13日
NHK BSプレミアム「新日本風土記・釜ヶ崎」2019年2月22日
釜ヶ崎史料センター(旧蔵)資料
「釜ヶ崎資料センター」は1980年代、釜ヶ崎夜間学校などに取り組んできた松繁逸夫ら数名の有志により三角公園近くのアパート一室に設けられた。毎週土曜日の資料収集と研究会を重ねた当時の刊行物に『釜ヶ崎資料』1-5号(1986年〜1988年)がある。退去にともない資料は2000年頃、大阪市立大学文学研究科社会学教室(当時)島和博研究室に託された。
その後、都市研究プラザ開設時に若手研究員で在籍した大倉祐二、原口剛らがそのアーカイブ化に着手する。西成プラザのサテライト施設を経て、2013年からは西成区との連携協定による 「西成情報アーカイブネット企画運営事業」基礎資料として吉村智博が受け継ぎ、2018年から社会福祉研修・情報センター(ウェルおおさか)1Fに設けられた拠点でレファレンス対応にあたっている。
主な資料群
- 西成労働福祉センター『日雇労働者の就労と福祉のために』(1962-1988)計27号、約3,600頁
- 雑誌『労務者渡世』(1970-1985)計38号、約1,600頁
- 雑誌『季刊・釜ヶ崎』(1980-1984)計10号+特別号、約800頁
- 通信・機関紙類「日刊越冬新聞」「大阪城」「えっとう」「コーナー便り」「釜ヶ崎解放」「医療連通信」「創造広場」「夜間学校ニュース」「センター便り」「春闘ニュース」「自由連合」など1960年代〜1990年代の総計約2,400枚、一点ものの大衆ビラ多数(コンテナ15箱分)
- 図書刊行物(約350点)、VHSビデオ(野営闘争、釜ヶ崎講座、特別清掃事業、ドキュメンタリーなど)11本
最近の利用申請・提供実績
『昭和期の都市労働者[2]大阪:釜ヶ崎・日雇《図書資料編》戦後編前期』近現代資料刊行会 2021年3月
小島宗治空中写真
小島宗治(1921-2001)は太刀洗陸軍飛行学校を卒業、1933年に満洲航空株式会社へ入社して長らく航空写真測量に従事。著書に私家本の『航空測量私話 空と写真と戦いと』(1991)および『測天量地 測量の源流を尋ねて』清和出版社(1997)が知られている。
『航空測量私話』第一話1「航空写真測量専門企業の誕生」は水内俊雄の解題で 『空間・社会・地理思想』第17号(2014)に復刻転載された。戦後撮影された大阪府下・市内各所の空中写真13箱、プリント計約900枚。
主な資料群
- 1958年撮影(1万5千分の1) 大阪府下・市内各地 4箱分(340枚)
- 1962-1963年撮影(4千〜8千分の1) 宝塚・大阪城・梅田・難波ほか 3箱分(110枚)
- 撮影年代不詳(5千〜1万5千分の1) 大阪府下・市内各地 6箱分(445枚)
その他
西成情報アーカイブ事業は「地域に現存する歴史的価値・学術的価値のある資料を収集・整理・公開することにより、歴史の正確な理解と地域力の醸成、地域福祉、社会福祉研修・情報の提供につなげること」を目的としており、区役所を介して市民から多数の資料提供を受けてきました。その一例として、朋興社から寄贈された 住宅協会出版部編『大阪市全住宅案内図帳』1956年は杉本図書館へ移管されて蔵書として利用できます。しかし前掲各項「寄託」資料以外の利用・公表の可否は、個別に現在の所有者・原著作権者との相談になります。
※寄託アーカイブ写真等のご利用にあたっては、以下の利用申請書をそえて研究目的をご相談ください。