高校生の皆さんへ
高校生の皆さんは,「高校の生物の教科書に書かれていることだけが生物学」と思っているのではないでしょうか.
そんなことはありません.
生物学は,皆さんが思っている以上に身近で,幅広く,深く,日々新しい発見が行われている躍動的な学問分野です.大学では,みなさんがこれまで思いもしなかったような多様な生物現象について学びます.また生物学科では学生一人ひとりが,「世界でまだ誰も明らかにしていない生命現象の解明」すなわち研究に取り組みます.
私たちの研究室は,動物たちがどのように環境の変化を予測し,どのように適応しているのかについて研究しています.たとえば昼は明るく,暖かく,湿度は低くなり,多くの花が開き,昼行性の捕食者が活動します.一方,夜は暗く,寒く,湿度は高く,花が開くのはわずかで,夜行性の捕食者が活動します.このような環境変化が一日に一回巡ってきます.また,植物が芽吹く春,暑い夏,実りの多い秋,寒い冬のように,季節は一年に一回巡ってきます.海岸に生息する動物は,満潮,干潮を12.4時間に一回経験します.
このような環境変化に適応するため,ミツバチの働き蜂は昼に花を訪れて蜜を採取し,夜は巣で休みます.多くの昆虫は秋になると積極的に自身の発育を停止する「休眠」という状態になって冬を越し,春の温度の上昇によって活動を再開します.海岸に住むコオロギは,夜の干潮を予測して,その時刻に海岸に下りていきます.このように動物たちは,環境変化を予測して活動を変化させます.これは「生物時計を用いた環境変化の予測」によって行われています.生物時計とはどのようなものでしょうか.どこにあるのでしょうか.どのようにして行動や生理状態を変化させるのでしょうか.
私たちの研究室では,学生一人ひとりが異なるテーマで研究に取り組み,まだ誰も見たことのない地平に辿り着こうとしています.
一緒に,昆虫たちの隠された生き方を明らかにしませんか?
後藤慎介の研究内容の紹介記事はこちら(テルモ生命科学振興財団)