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自然界の成立ちを解明するために、実験的手法を用いてミクロな世界での素粒子現象や宇宙でのマクロな天体・宇宙現象を研究しています。また、既存の物理モデルを越える新しい現象の探索を続け、より深い自然の理解を目的としています。そして、将来の研究を担う人材として、基礎知識と自然界に対して実験的観点からの深い洞察能力のある人材の育成を目指した教育を行っています。
極限的世界に挑む実験・観測は、日本のような先進国でも1つしか作れないような高度で大型の装置の建設が必要となり、多数の大学から研究者が集まる大型計画となることがしばしばです。私たちは、こうしたいくつかの大型計画において重要な役割を務め、研究拠点となっています。
教員: 清矢良浩 教授、山本和弘 准教授
研究内容:加速器を用いたニュートリノ振動の研究、特にレプトンセクターのCP対称性の破れの探索。高純度パルス陽子ビームを用いた、荷電レプトンフレーバーの破れを伴うミューオン・電子転換過程探索等、素粒子精密測定実験による素粒子標準模型を超える新しい物理の探索。
茨城県東海村にあるJ-PARCから295km離れた岐阜県飛騨市にあるスーパーカミオカンデ検出器に向けて人工ニュートリノを飛ばし、その間で起こるニュートリノ振動を高精度で測定するT2K実験を行っています。ニュートリノと反ニュートリノの振動確率の違いを測定することでCP対称性の破れを探り、この宇宙にはどうして物質だけで成り立っており、反物質は無いのかという宇宙の根源的な謎に迫ろうとしています。T2K実験とスーパーカミオカンデ実験の次期大型計画であるハイパーカミオカンデ実験にも積極的に関わっており、2027年の開始を目指して準備を進めています。ハイパーカミオカンデ実験ではニュートリノのCP対称性の破れの発見が期待されています。
また、J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)において、高純度パルス陽子ビームを用いたミューオン・電子転換過程を探索するDeeMe実験を行っています。陽子標的に大量に生成されるミューオン原子から出現が期待されるミューオン・電子転換過程の探索を通して、素粒子標準模型を超える新しい物理の探索を行っています。
教員: 中野英一 教授、岩崎昌子 教授
研究内容:B中間子を用いた素粒子実験、特に物質・反物質の非対称性の精密な実験的研究。
宇宙・素粒子実験物理学研究室では、電子・陽電子衝突型加速器を用いた素粒子実験の研究を行っています。現在は主に、茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)で行われているBelle II実験に参加して、B中間子を用いた高統計、超精密実験の研究を進めています。Belle II実験では、膨大量のB中間子を生成して、B中間子のCP非対称性(物質・反物質の非対称性)の測定や、B中間子稀崩壊の精密測定を行うことで、我々が知らない、標準理論を超えた新しい物理法則の発見を目指しています。
研究室では、Belle II実験や、同じく電子・陽電子衝突型実験計画であるILC将来実験計画等、素粒子実験のための基礎研究開発として、機械学習の適用研究や、ガス検出器の基礎開発を進めています。
教員: 大西利和 教授、前澤裕之 准教授、村岡和幸 准教授
研究内容:星の誕生過程の解明、星間分子雲の進化、系外銀河分子雲における星形成、銀河進化、惑星大気の電波観測、超高感度検出器(センチメートル波~THz帯)の設計・開発・実用化
教員: 常定芳基 教授、藤井俊博 准教授
研究内容:超高エネルギー宇宙線の観測による天体・宇宙現象の研究、南極における宇宙ニュートリノの観測的研究、南米の高山における宇宙ガンマ線の観測的研究
この宇宙には、想像を絶するほどの高いエネルギーをもった粒子が存在します。現在、地球上で作り出すことのできる最高エネルギーの粒子は1013eV(電子ボルト)程度ですが、宇宙から飛来する「宇宙線」のエネルギーはこれよりもはるかに高く、1020eVにも達することが知られています。当研究室では、宇宙線の観測によりその起源や、この宇宙における極限的高エネルギー現象の物理学を研究しています。米国ユタ州、南極、南米ボリビアに建設した大型の検出器での観測的研究を行なっています。
教員: 神田展行 教授、伊藤洋介 准教授
研究内容:一般相対論の予言した時空の歪みの波である重力波の観測、および重力波による天体物理・宇宙現象の研究本研究室では、宇宙を見る新しい目-重力波-を使った物理学・天体物理学の研究をおこなっています。また、日本の重力波望遠鏡KAGRAプロジェクトに関わり、重力波データの管理、較正から解析などを担当しています。重力波は非常に重くてコンパクトな天体、中性子星やブラックホールが激しく運動したときに効率的に放射されます。逆に重力波を観測すれば、中性子星やブラックホールといった天体の性質や重力の理論について知ることができます。重力波はまた、初期宇宙を研究する手段としても可能性を持っています。 2015年9月、アメリカの重力波望遠鏡LIGOが太陽の質量の30倍という重さの2つのブラックホールからなる連星が放射する重力波を捉えました。その後次々とブラックホール連星からの重力波が検出されています。2017年8月にはGW170817と呼ばれる、2つの中性子星からなる連星からの重力波が検出されました。20世紀中葉から電波、赤外線、X線、ガンマ線、ニュートリノによる天文学が始まり、宇宙背景放射、パルサー、クエーサー、銀河中心の超大質量ブラックホール、恒星の誕生、系外惑星、銀河間プラズマ、ガンマ線バースト、ニュートリノ振動など、多くの発見がありました。同様に、新しく始まった重力波物理学・天体物理学には今後大きな発展が見込まれます。KAGRAは、LIGO、Virgoとともに重力波天文学を強力に推し進めることが期待されています。
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