基礎物理学講座

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基礎物理学講座では自然界の仕組みを解明すべく、幾つかのテーマの下に理論物理学の研究を行っています。私たちは、素粒子や原子核のようなミクロの世界での現象、そして広大な宇宙で起こる現象に興味をもっています。また、物理学のもつ数理的な側面にも着目しています。これらの研究の中で私たちが目的とすることは、物理学の基本的な法則や、それに支配される現象を的確に理解し、論理的に伝えることです。そして、自然界の究極の姿についての基本的な知識と研究能力を備えた人材を育成することを目指した教育をしています。

研究テーマ:素粒子の標準模型(Standard Model)は、O(100) GeV 以下のほぼ 全ての高エネルギー物理現象を無矛盾に記述する非常に成功した模型です。しかしながら、

(a): 『質量の起源は何か?』、

(b): 『電弱相転移がどのようにして起きたのか?』 は依然として謎のままであり、Higgs 場の起源と密接に関係していると思われます。 また、

(c): 『何故、クォーク・レプトンには、量子数が同じで質量だけが異なる3回のコピーの繰り返し (世代) が存在するのか?』 は、世代の謎と呼ばれ、今のところ何の手がかりもなく、 クォーク・レプトンの世代構造の起源の解明が切望されています。 他にも、 (d): 『何故、ニュートリノの質量は、他のクォーク・レプトンに比べて遥かに小さいのか?』

(e): 『何故、陽子と電子の電荷の絶対値が21桁以上の精度で等しいのか?』 (f): 『パリティの破れの起源は何か?』

(g): 『何故、我々の時空は4次元なのか?』 等、様々な未解決の謎があります。

これら(a)-(g)の謎は、Standard Modelの背後に、 より根本的な物理 (Beyond the Standard Model(BSM)) が存在することを示唆するとともに、BSM を探る重要なカギでもあります。私は、これまで、主に、「超対称性理論 (SUSY)」、「余剰次元理論」、「大統一理論 (GUT)」、「新しく開発した模型」を用いて、BSM の探求をおこなってきました。しかし、もしかすると、BSM は、全く未知の理論かもしれないし、上記の複数の謎は想像を超えた形で関係しあっているのかもしれません。そうした可能性も常に念頭に置き、新しい理論の定式化や新しい実験の提案等も含めて、多角的で革新的なアプローチで、上記 (a)-(g) の解明に挑戦しています。

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「物質の究極」を知りたいという欲求、それはいわば人間の本能的なものです。そして、それこそが私たちが研究している『原子核物理学』の出発点でもあります。原子核は原子の中に粒のように存在する、とても小さな物体です。自然は、あたかもその姿を人間の前に素直にさらけだすことを拒んでいるかのようです。しかしながら、この原子核こそが物質の質量の99.97%以上を占めており、私たちが普段、「重い」あるいは「軽い」などと言っているのは、間接的にこの原子核の存在を観測していることになるのです。原子核とは、実はそのように身近なものであり、我々の身の回りに存在する物質の究極的な構成要素です。原子核は原子の内部に電子を閉じ込めておく力の源を与えています。それでは、その原子核自体はどのように出来上がっているのでしょうか?それを明らかにすることこそが、『原子核物理学』の究極の課題です。

<現在進行中の研究>
  • 中性子過剰核の構造と反応:中性子が陽子の2倍以上もある奇妙な原子核の探求
  • 原子核構造の統一的な理解を目指した模型の提案・開発
  • 陽子や中性子に作用する「核力」が原子核構造に及ぼす影響の理解
  • 宇宙における元素合成過程(元素の起源)の解明への寄与
  • ニュートリノと原子核の相互作用が元素合成へ与える影響
  • 電子以外(ミュー粒子、反K中間子)が原子核の周りをまわるエキゾチック原子の性質
  • がん治療など、医学的応用への寄与を目指した原子核構造・反応研究
原子核理論

宇宙物理研究室

教員: 中尾憲一 教授、吉野裕高 准教授

研究テーマ:当研究室では重力現象をとおして宇宙の理解を深めていくことを目指しています。現在はとても面白い時代で、観測・実験技術の発達によりブラックホールとよばれる特異な天体の近くを見ることができるようになってきました。また、室内実験をとおして重力の未知の性質を発見できる可能性があります。そのような状況にこたえるべく、重力理論の理解を深め、宇宙現象を予言し、新しい物理の発見につながるような理論研究を目指します。

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研究テーマ:相対論的場の量子論を基盤と、自然界の究極的法則の探索から生まれた紐理論の発展。

数理物理(場の理論、弦理論)

数理物理(表現論)研究室

教員: 会沢成彦 教授

研究内容:古典力学, 量子力学, あるいは場の理論といった理論物理と代数学や幾何学との関連の研究

数理物理(表現論)