人工偽妊娠誘起法(EGET)
人工偽妊娠誘起法(EGET)
当研究室では、動物繁殖研究所(茨城県かすみがうら市)との共同研究で胚移植に必要な雌の偽妊娠誘起を人工的に誘起する方法の開発に成功、夏目製作所より製品化し「EGET]として販売を開始した。
げっ歯類において、雌の偽妊娠誘起は雄との交尾刺激により引き起こされる。そのため、これまでは精管結紮した雄との交尾により偽妊娠雌を作製していた。しかしながら、この方法は動物が交尾しないこともあり、必ずしも雌が偽妊娠誘起されるとは限らない。そのため、必要な偽妊娠雌を確保するために多くの動物を飼育することになりスペースや費用が必要となる。
我々は、交尾刺激を人工的に再現する振動装置を独自に開発(特許出願中)し、性周期が規則的で胚移植に適したWistar-Imamichiラットを用いて、雌の偽妊娠を誘起する方法の開発に成功した。本方法は、マウスでも成功している。
これにより、胚移植のスケジュールにあわせて偽妊娠雌を計画的に用意することが可能となる。また、胚移植に用いられる雌は最小限の飼育で済むするだけでなく、精管結紮雄の作製や飼育も不要となるため、3Rsの国際原則にも配慮したされた技術として普及を行っていく。
特許情報
哺乳動物の移植受精卵からの産子作出方法およびこれに用いる偽妊娠誘起具
特願2020-77576
(動物繁殖研究所との共同出願)
メディアリリース
動物の妊娠環境を人工的に作り出す 音波振動装置を開発・製品化(2023年10月)
音波振動で動物の妊娠環境を瞬時に作り出す技術の開発に成功 (2023年3月)
動物(ラット)の妊娠環境を音波振動で人工的に作り出す装置 (人工偽妊娠誘起法:Easy-ET)の開発に成功 (2020年2月)
論文情報
Successful induction of pseudopregnancy using sonic vibration in mice.
Wake Y, Endo M, Tsunoda S, Tawara H, Abe H, Nakagawa Y, Kaneko T.
Scientific Reports. 13(1):3604, 2023.
doi: 10.1038/s41598-023-30774-x.
Successful pseudopregnancy of rats by short period artificial stimulation using sonic vibration.
Endo M, Tsunoda S, Tawara H, Abe H, Kaneko T.
Scientific Reports. 12(1):1187, 2022.
doi: 10.1038/s41598-022-05293-w.
Simple induction of pseudopregnancy by artificial stimulation using a sonic vibration in rats.
Kaneko T, Endo M, Tsunoda S, Nakagawa Y, Abe H.
Scientific Reports. 10(1):2729, 2020.
doi: 10.1038/s41598-020-59611-1