受精卵エレクトロポレーション法(テイク法)

受精卵エレクトロポレーション法(テイク法)
当研究室で2014年に開発されたTAKE法(Technique for Animal Knockout system by Electroporation)とは、エレクトロポレーション(電気穿孔)により受精卵内に核酸を導入し、遺伝子改変動物を作製する新しい方法である。これまでのエレクトロポレーション法は、透明帯の非薄化や細胞へのダメージが大きく、受精卵内への核酸の導入は困難であった。このため、遺伝子改変動物の作製には、マイクロマニピュレーターと呼ばれる特殊な機械および熟練した技術を用いて、受精卵に核酸を導入することで作製されていた。TAKE法は、3ステップのパルスにより細胞への穿孔および核酸の導入を行うことで、細胞へのダメージを軽減したマイクロマニピュレーターを必要としない簡易かつ効率的な遺伝子改変動物作製法である。

TAKE

  エレクトロポレータ-(NEPA21, ネッパジーン社)

TAKE2

  テイク法の原理

TAKE法を用いてZFN、TALEN、CRISPR/Casを受精卵内に導入し、遺伝子改変動物を短期間かつ容易に作製することが可能になった。従来のマイクロインジェクション法に比べて核酸導入後の受精卵の生存率向上および2倍以上の効率で目的の遺伝子に変異を持った動物の作製に成功している。

特許取得済
エレクトロポレーションを利用した哺乳類の遺伝子改変方法
特許第5774657号

TAKE法が利用されている機関
東京大学、大阪大学、筑波大学、信州大学、理化学研究所、国立国際医療研究センターなど

プロトコール
Genome Editing in Mouse and Rat by Electroporation.
Kaneko T.
Methods Mol Biol. 2017;1630:81-89.

関連資料
Simple genome editing of rodent intact embryos by electroporation
Kaneko T, Mashimo T
PLoS One, 10:e0142755, 2015

Simple knockout by electroporation of engineered endonucleases into intact rat embryos
Kaneko T, Sakuma T, Yamamoto T, Mashimo T
Scientific Reports, 4:6382, 2014

超簡単!遺伝子改変動物作製法の開発
-エレクトロポレーション(電気穿孔)法による哺乳類受精卵への ZFN、TALEN、CRISPR-Casの導入に成功-
京都大学HP-研究成果