図3: ノックアウトラット
生殖技術
1.顕微授精法
顕微授精法は、直径0.01mmのガラス管に精子を吸引(矢印)した後、卵子内に注入し受精させる方法である。動物以外にもヒトの臨床分野で不妊症の治療に用いられている方法である。
図1: 顕微授精(ラット)
2.ラット胚凍結保存法
現時点で胚のフリーズドライ法は成功していないため、凍結保存法を用いている。我々はPEPeS法と呼ばれる方法を用いてラット胚保存法の開発・改良を行っている。PEPeS法は、これまでの凍結保存液と異なり細胞への毒性が低い組成で構成されているため、ラット胚を安全に保存することができる。
図2: 凍結融解後の2細胞期胚(ラット)
3.ノックアウト・トランスジェニックラット作製法
ラットは、これまでES細胞が樹立できていなかったためノックアウトラットを作製することができなかった。2010年にES細胞からのノックアウトラット作製の報告がされたが、作製効率の課題が残されている。当施設では、人工ヌクレアーゼであるジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)およびCRISPR-Cas9システムを用いてノックアウトラットの作製に成功した。マイクロマニピュレーターを用いてラットの受精卵に標的遺伝子を認識させたZFN/TALEN/CRISPR-Casを導入することでノックアウトラットを作製できる。高率かつ短期間でノックアウトラットを作製できるため、今後の医学基礎研究への利用が期待される。