高校生の方へ
理念
現代社会は、高強度合金、形状記憶合金、磁性体材料、電池材料、バイオマテリアル、触媒といった様々なモノ = マテリアルによって支えられています。私たちは、ミクロな視点から物質を理解し機能を引き出すことで、新しいマテリアルを開発しています。
- モノを作る・設計する
新しいマテリアルを作るには、高度な化学的操作の他、電子の振る舞いを正確に理解して設計する必要があります。我々は、最先端・独自の手法を駆使して新しい物質を合成すると共に、電子状態のシミュレーションに基づいて、マテリアルの設計を行っています。
- 観察する・解析する
質から優れた機能を創出するためには、様々なスケールで物を観察する必要があります。レーザー、電子線、X線を用いることで、物質のミクロな構造を観察・解析し、機能発現のメカニズムを明らかにします。
- 機能を引き出す
物質から機能を引き出すことで、社会の役に立つマテリアルとなります。物理と化学の知識を融合させ、結晶中の原子の種類や配列を変えたり、微細組織を制御することで、物質の機能を引き出します。
マテリアル工学とは
マテリアル工学 とは、物理や化学を始めとする様々な分野の知識を融合して新しいモノ、すなわち「マテリアル」を創り出す学問です。新しいマテリアルを創り出すには、マイクロメートルスケールの結晶組織や、原子スケールでの構造や電子の運動など、ミクロな視点で物質の本質的な性質を理解し、それを機能として利用できるように制御する必要があります。マテリアル工学科では最先端の合成技術や解析技術を駆使し、無機結晶材料、有機-無機ハイブリッド材料、金属材料など、持続可能社会の構築に欠かせない、さまざまなマテリアルの開発に取り組んでいます。例えば、人工歯・骨に求められる人体に害のない素材、軽くてしなやかで丈夫な合金、再生可能エネルギーを有効利用するための触媒、鉛などの有害な元素を鉄などの環境にやさしい元素に置き換えた材料の開発など、研究分野は多岐に渡ります。 マテリアル工学科では、モノの仕組みを理解するための物理、モノを設計するための化学、モノの状態を制御するための材料プロセス学など、新しいマテリアルを創るための学問を体系的に学び、柔軟な思考力と課題への解決力を養うことで、あらゆる分野で活躍できる「マテリアルのプロフェッショナル」を育成しています。
カリキュラム概要
マテリアル工学科 では、持続可能社会に必要な金属材料、セラミックス材料、ハイブリッド材料などの様々なマテリアルに関する専門的な知識を身につけることを目標とした教育を行います。マテリアルの研究・開発現場において能力を発揮できる思考力、課題解決力、コミュニケーション力と、科学者・エンジニアとして必要な倫理観を兼ね備えた人材を育成するため、自然科学、外国語、一般教養などを中心とした基幹教育科目から、マテリアル工学の専門科目までを体系的に学べるカリキュラムを用意しています。
- 1年次は、数学・物理学・化学に関する基幹教育科目のほか、外国語科目、プログラミング、健康スポーツ科目、教養科目などを学びます。 また、化学・物理に関する実験科目では、実験手法やレポートの作成方法について学びます。 1年前期のマテリアル工学概論では、マテリアル工学科の研究室で行われている研究内容を紹介します。
- 2年次は、結晶学、材料物理化学、量子論などのマテリアル工学の入り口となる専門科目のほか、研究倫理に関する科目を学びます。
- 3年次は、材料物性、材料化学、材料工学に関する専門的な内容を本格的に学習します。マテリアル工学に関する実験科目では、卒業研究に必要な知識・実験技術の習得を目指します。
- 4年次は、材料物性、材料化学、材料工学の研究を行う研究室に配属され、卒業研究に取り組みます。卒業論文の執筆や、卒業研究発表会での発表・質疑・討論を通じて、マテリアル工学の研究・開発現場で必要とされる基本的な研究能力を身につけます。