第2回「図書館×短歌・俳句」

イベント内容

2025年1月14日(火曜)杉本キャンパス学術情報総合センター1階文化交流室にて、西田正宏教授(現代システム科学研究科・和歌研究者)、杉田菜穂教授(経済学研究科・俳人)を講師に迎え、短歌・俳句への関心を深めるイベントを開催しました。当日は17名が参加しました。

イベントは2部構成で、第1部は西田教授・杉田教授による対談を行いました。杉田教授からはイベントに向けて投稿された短歌・俳句の講評がありました。青春短歌・俳句が多く集まる中で、杉田教授は俳人の視点で俳句の詩形に着目しながら、季節感がある作品を取り上げました。

対談では、短歌・俳句における解釈・歴史・味わい方・上手な「ウソ」のつき方など幅広いテーマが話題に上がり、まとめで西田教授は自由・共感がブームの現代短歌・俳句において、古典和歌に由来する季節と型・題による制約がむしろ新しい創造を生み出すことを語りました。

参加者から「おくのほそ道で上手にウソをついた俳句はどれか」の質問が寄せられ、西田教授からは弟子の曾良の日記によると晴れであった「五月雨を降り残してや光堂」の解説がありました。

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第2部では西田教授と杉田教授にもご参加いただいて、短歌作りのワードゲーム「57577ゴーシチゴーシチシチ」を使ったレクリエーションを行いました。ゲームは2チームに分けて2回行い、1回目は5音の言葉と7音の言葉のワードカードを組み合わせて短歌を作り、2回目は下の句を自分で考えることをルールとしました。

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はじめは参加者に緊張もみられましたが、徐々に打ち解け、一方のチームは和気あいあいと、もう一方のチームは真剣な様子でそれぞれゲームを楽しみ、創作への意欲が刺激されている様子で大盛況でした。各ゲームの後、チーム内で最も優れた短歌を投票で決め、全体に向けて短歌を発表しました。2回目のゲームで生まれた優秀短歌は次の通りです。

  • 夢じゃない青空のした手を振れば若き日の亡父ちち高らかに笑ひ
  • バーチャルな世界征服くり返す争いのない世界になれよ
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投稿作品

イベントに向けて自作の短歌・俳句の投稿を募集し、短歌44首・俳句17句が集まりました。たくさんのご応募ありがとうございました。

  • Formsへ投稿されたものは職員が転記しています。

講評のあった作品は次の通りです。

  • どうしたのどこからきたのワカラナイ机の下の蝉のぬけ殻(つじ さん)
  • 蝉の抜け殻に話しかけるような柔らかい目線が素敵(杉田教授)
  • 靴のなかで小石が石の冷たさを失ってゆく冬の通学路(宇佐見さん)
  • 誰しもがわかる気持ちを、小石を主語にしてとらえた視点が印象的(杉田教授)
  • 沈丁花あなたが立てばあなたから香ったような植え込みの傍(金井優々さん)
  • みずみずしい恋歌で印象的(杉田教授)
  • 望月も大河に揺らぐ若い影光る源願ふ平安((判読不可)by NHKさん)
  • 藤原道長の歌を意識しながら、様々な要素が詰め込まれている(西田教授)
  • もう5ミリ朝霜と消ゆシュトーレン(らとさん)
  • 多義的に読め、作者がどんな人なのか想像をかき立てられる(杉田教授)
  • 秋風に落ち葉行きかふ白鷺門(なかぷうさん)
  • 秋から冬へのうつろいというものを独自の視点でとらえている(杉田教授)
  • 冬休み1月サボって春休み(工学B2さん)
  • 季重なりもあり川柳的だが、願望を具象的にとらえている (杉田教授)

企画展示

2024年12月9日(月曜)~2025年1月22日(水曜)の期間に杉本図書館、中百舌鳥図書館、阿倍野医学図書館で短歌・俳句をテーマにした企画展示を実施しました。あわせて、杉本図書館では西田教授・杉田教授がイベントで推薦した図書、杉田教授の作品が掲載されている図書を展示しました。