「七夕講演会・観望会」が開催されました

7/5(金)「七夕講演会・観望会」があり、SSSRCの学生によって超小型衛星「ひろがり」の紹介がされました。日本天文学会が主催する「全国同時七夕講演会2019」の一環として、大阪府立大学の宇宙物理学研究室をはじめとする宇宙関係団体の共催として開催され、本プログラムも共催となっております。この講演会は一般向けの講演会でもあり、学生、教職員だけでなく、多くの一般参加がありました。

「七夕講演会・観望会」

七夕講演会2019ポスター_ver2.pdf-211x300

日 時 2019年7月5日(金) 18:00~
会 場 大阪府立大学 A12棟 サイエンスホール
参加者数 学生38名、教職員16名、一般21名

当日は、本プログラムからは、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 研究開発部門   第一研究ユニット研究開発員 伊藤琢博氏をお招きしご講演いただきました。

 講演では、ロケットの姿勢変更方法(人工衛星を宇宙に送るために姿勢を変えなければいけないことや太陽センサーによって姿勢を把握していることなど)や運用方法、また運用でのミスを防ぐために、あらゆる事態を想定した運用訓練について詳しく解説していただきました。

                                                                                                                                                       

                                        〈講演の様子〉             

伊藤氏講演1-300x224特に、安全確保のためにロケットを落とさなければならない条件など、一般にはあまり知られていない内容にも触れて頂き、大変興味深いものでありました。

そして、ロケット4号機の失敗から5号機の成功に至る過程や、開発時の各種試験(振動試験、衝撃試験、熱真空試験など)の中でも、伊藤氏が担当されたモーションテーブル試験について、ご自身の経験も踏まえて分かりやすく詳細にご説明いただきました。
「ディスプレイの電源が落ちたらどうするか」、「一般車両が打ち上げ直前に入ってきたらどうするか」など、具体例を交えて話をしていただいたので、短い時間で適確に判断しなければならない状況がよく理解できました。     

                                              

〈JAXA 研究開発部門   第一研究ユニット研究開発員 伊藤琢博氏〉

伊藤氏講演2-1--300x244

そのようなお話の後の5号機の打ち上げシーケンスの説明は大変分かりやすく、特に、2段目Goボタンを押す場面は迫力満点でありました。また、 運用準備中の打上げ二日前に現れた虹の写真と、「成功するロケットは準備中に虹が見える」という峯杉所長が話されたというエピソードも印象的でした。

伊藤氏は、本学の卒業で、在学中は「小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)」にて超小型人工衛星の開発研究にも携わっておられました。今回、本学を訪れた機会に,多くの後輩を激励してもらえたこと、また講演を通して後輩をエンカレッジしていただけたことは、大変有難いことでありました。

 

                    〈SSSRCの後輩たちと記念写真〉

           SSSRC学生との集合写真

本講演会では、参加者に「質問用紙」が配布され、2件の講演終了後にそれぞれの講演者が質問に回答する形式をとっていたので、軽い質問から専門的な質問まで幅広い領域にわたって、比較的多くの質問がありました。

伊藤氏講演:Q&A

Q:JAXAに入ろうと思った理由は?
A:子供のころから宇宙にあこがれていたのはありました。府大に入り、小型宇宙機システム研究センターで超小型人工衛星の開発に携わることができました。その経験と大学院で行った通信関係の研究を活かす仕事がしたいと思い、JAXAに入りました。
Q:これからは何をしていくのですか?
A:現在は、火星衛星探査計画(MMX)に携わっています。また、新しいプロジェクトとして重力波観測衛星にも関わっています。こちらは複数の衛星を使った位置制御を行うことにワクワクして取り組んでおります。
Q:打上げ成功した日は何を食べましたか?
A:メンバー全員が入れる内之浦唯一の店でこちらも「打上げ」をしました。 地元の魚料理は絶品です.
Q:ロケットの価格はいくらですか?
A:開発段階ということで、はっきりと言うことはできません・・・。
Q:「Go」のボタンを押したのは誰ですか?
A:この人です(講演に使用したスライド写真で紹介)。ほかの人が代わりに押すことはできない非常に重要な仕事です。
Q:人工衛星と比べてロケットの難しさはどこにありますか?
A:打上げ時は後戻りできないですし、わずかな時間の中で判断をしていかないといけないので、衛星に比べるとはるかに難しかったです。また,衛星はセーフモードなど不具合が起きたときに回避できるモードがありますが、ロケットは不具合が起きたら、即、失敗につながることも・・・、はるかに難しかったです。
Q:開発中に苦労したことはなんですか?
A:担当した姿勢制御系は4号機では実施していなかった(実施する前に終了した)ために、5号機が初めての運用でありました。そのために「絶対成功させたい」というモチベーションは高かいのですが、同時に「今度は失敗できない」というプレッシャーがあり、それがつらかったです。
Q:ロケットをスピンさせていると姿勢変更に不利では?
A:宇宙空間では確かにそうですが、大気のある地表付近を抜けるにはスピンしていないと、姿勢を安定させることができません。そのバランスのとれるスピン回転数にすることが重要です。
Q:運用中に太陽センサーはどのように用いているのですか?
A:(運用結果のグラフをスライドで一緒に見ながら、太陽センサーで計測した姿勢角とジャイロなどの内部センサーによる姿勢角をモニターし、その差が1度以内であったことを確認しながら、回答)

 

SSSRC学生の感想はこちら→伊藤氏講演に関するアンケート(回答) (439.6KB)