大阪府立大学と室蘭工業大学が超小型衛星「ひろがり」を共同開発 ―2021年上期に国際宇宙ステーションへ打ち上げ予定―

更新日:2020年10月19日

大阪府立大学 小型宇宙機システム研究センター(センター長 小木曽 望、以降「小型宇宙機システム研究センター」)と室蘭工業大学 航空宇宙機システム研究センター(センター長 内海 政春、以降「航空宇宙機システム研究センター」)は、新規展開構造物、アマチュア無線帯(VHF)での高速通信技術の軌道上での有用性を実証するために、超小型衛星「ひろがり」を共同開発しました。

現在、共同開発を終え、2021年上期にNASAワロップス飛行施設(アメリカ)から国際宇宙ステーションへの打ち上げに向け、安全審査の最終調整をしています。

打ち上げ後は、国際宇宙ステーションから「ひろがり」を宇宙空間に放出し、実証実験を実施します。

プレスリリース全文 (573.2KB)

〈追記 2020年10月20日〉
フライトモデル(「ひろがり」)について各種審査を終えて、10月16日にJAXAへの引き渡しが完了しました。

本取り組みの特徴

  • 超小型衛星「ひろがり」についてnws20210210_3世界で初めて厚みのある板のミウラ折り板構造の展開と軌道上での形状計測手法を宇宙空間で実証。
  • これまで打ち上げられたUHF、VHF帯のアマチュア無線衛星よりも高速な通信方式を採用。また、誤り訂正能力を持つ新たなプロトコルを採用し、評価を実施予定。
  • アマチュア無線での交流をひろげるために、
    1. アマチュア無線家向けのメッセージボックスサービスの実施。
    2. 一般の方向けに「衛星を使って世界中にメッセージを発信したい」という方を募集予定。

小型宇宙機システム研究センターと航空宇宙機システム研究センターの共同開発について

2018年8月から「展開構造物を有する超小型衛星「ひろがり」の研究開発および軌道上運用を通した妥当性検証」の共同開発を開始し、2Uサイズ(幅10㎝×奥行10㎝×高さ20㎝)超小型衛星「ひろがり」の完成に向けた研究開発を精力的に推進しています。

展開構造物の軌道上実証のために、2Uサイズの「ひろがり」に搭載可能かつ軌道上運用条件を満足する展開構造物を開発すること、そして、軌道上における展開構造物の挙動を検証し、この検証を通して、画像測定システムの妥当性も検証することを目的とします。

また、小型宇宙機システム研究センターがバス機器、航空宇宙機システム研究センターがミッション部(ミウラ折り展開構造)を開発担当します。

「ひろがり」プロジェクトについて

pr20201019_2-300x278本研究の超小型衛星「ひろがり」プロジェクトは、大阪府立大学が文部科学省宇宙航空科学技術推進委託費宇宙航空人材育成プログラム(2018~2020年度)に、「超小型衛星開発とアントレプレナーシップ教育を通じた宇宙システム活用人材の育成」として採択されたプログラムの一環として行っています。

このプログラムは、スタートアップ企業の存在感が高まっている宇宙開発の流れに適応できる人材を育成するために、これまで本学が培ってきたシステム思考・デザイン思考・アントレプレナー教育と、超小型人工衛星を念頭に置いた宇宙工学とを体系的に融合した新しい教育プログラム構築に向けて、株式会社レヴィ・株式会社インディージャパンを共同参画機関とし取り組んでいます。

小型宇宙機システム研究センターの大学生・大学院生を中心に、宇宙開発に興味のある学生を対象に、教育プログラムを試行。またプログラム試行を通して、小型宇宙機システム研究センターの将来を担う学生を育てるとともに、宇宙ビジネスを開拓する心意気を涵養することをめざします。

プロジェクト資金の支援について

超小型衛星「ひろがり」の開発ならびに大阪府立大学 小型宇宙機システム研究センターの活動に対しては、「ふるさと納税制度」を活用した大阪府立大学への寄附制度である「つばさ基金」を通じて、学内外の多くの方々から寄附金をいただきました。
また、室蘭工業大学ではクラウドファンディングを実施し、「ひろがり」プロジェクトに対する多大な支援と声援が集まりました。
支援いただいた皆さまの夢と希望をしっかりと受け止め、今後もプロジェクトを進めていく所存です。

協力企業

企業名 提供内容 URL
IMV株式会社 振動試験

 IMV株式会社 Webサイト

株式会社中金 衛星筐体の硬質アルマイト処理(黒色)

 株式会社中金 Webサイト

株式会社日本フューテック 基板設計・基板製作・部品実装一式

 株式会社日本フューテック Webサイト

A.S.Pシステム 衛星用アンテナ・電源コンポーネント
株式会社西無線研究所 無線通信機

 株式会社西無線研究所 Webサイト

株式会社ニッシン 衛星バス原型共同開発

 株式会社ニッシン Webサイト

株式会社アストレックス 電源システムの設計

 株式会社アストレックス Webサイト

Quadcept株式会社 基板設計用ソフトウェア

 Quadcept株式会社 Webサイト

関連情報

お問い合わせ

大阪公立大学 小型宇宙機システム研究センター長

教授 小木曽 望

Tel 072-254-9245
Eメール kogiso[at]omu.ac.jp [at]の部分を@と変えてください。