2021年度 「PERSEUS 講演会」を開催しました
プログラム最終後継続事業として、(高度人材育成センター主催)講演会を実施しました。講師には、共同参画機関であった株式会社インディージャパンの津嶋氏にご講演いただきました。
日 時 | 2021年9月30日 (木) 14:35~16:35 |
参加数 | 学生48名(B1 7名,B2 3名,B3 9名,B4 8名, M1 17名,M2 4名)、教職員8名 |
今回はZoomを使用し、オンラインで開催しました。 講演では、津嶋氏ご自身の体験実話を通して、システムデザインを日常の様々な領域に応用できるという観点で考える事で、その本質的な理解が深まるだけでなく、アントレプレナーシップを醸成することに繋がるなど、視座を高めて世界観を拡げ、新しい挑戦への切っ掛けになるご講演をしていただきました。質問時間では、学生より熱心な質問がたくさんあり、時間ギリギリまでご回答いただきました。学生にとって大変有意義な時間となりました。
<講演の様子>
また、参加学生からレポートを書いていただきました!
PERSEUS講演会 ~宇宙をシステムデザインする~
今回は、9月30日(木)に行われた、津嶋さんのPERSEUS講演会で学んだことを書きたいと思います。
まず、システムデザインを日ごろの様々なものに応用することで、その本質的な理解が深まるということを学びました。津嶋さんは学生時代、人力飛行機(以下、鳥人間コンテストとさせていただきます)に力を入れていたそうです。当時の鳥人間コンテストは、現在とは違い、大学生が優勝できるような環境ではなく、企業のエンジニアたちが本気で戦う場であったそうです。このような状況にもかかわらず、津嶋さんたちは、学生主体で見事優勝しました。どのようにして優勝を成し遂げたのでしょうか?これは、システムを見抜いていたことが挙げられます。飛行機は様々なシステムがあり、全部を把握し管理するのはとても大変なことです。そのため、自分たちの目標(ゴール)やそれまでの大会のデータなどに基づき、飛行機の重心位置や飛行速度など、重要なシステムに絞ってそこだけは極めることにしたそうです。これは、一流企業が耐久性に優れた製品を同一精度で大量生産できる技術に長けているのに対し、ベンチャー企業がある分野のみに力を入れ、その領域のみでは活躍できるという仕組みと似ているそうです。このように、あるものに対し、システムに分解することで、一見複雑に見えるものを単純なシステムとして捉えることができます。これを基に、自分たちのゴールにあったシステムに長けたものを作ることができるのです。これは、研究や開発などで、未知のものに取り組む際、単純なシステムに分解し、そのシステムに類似したものを学ぶことで問題解決しやすくできるなど、様々な面で活用できる技術だと考えました。
また、視座を高め、明確な目標を持つことの重要性を学びました。先述の鳥人間コンテストを例では、システム全体を見る人を作り、絶対に優勝するという目標を掲げたそうです。これにより、広い視野で飛行機を捉えることができ、どのシステムが重要かを考えることができたのです。津嶋さんは、社会人になると、システム全体ではなく、システムの一部を担当することが増えるとおっしゃっていました。私自身、学生ではありますが、現在の衛星開発では1つの系に所属し、その系内の仕事を担当することがほとんどです。しかし、これからはシステム全体を見て、そこから足りないものは何かを考えるなど、視座を高めるように努めたいと思います。将来は、自分に与えられた仕事(システムの一部に関する物)のみを考えるのではなく、システム全体を見て、大きな目標を成し遂げられるようなエンジニアになりたいです。
工学域 機械系学類 航空宇宙工学課程 B4 西川 誠寿
<事後アンケート(一部抜粋)>
〇講演会を受講後、ご自身が成長したと思う点があればお書きください。
・やりたいことに挑戦しようと強く思うようになりました。 |
・「手が止まっているなら圧倒的に情報量が足りない。とにかく既存のものを分解してでも学ぶ」、と いうお言葉に背中を押された思いでした。大学の研究や、就職活動など、いろいろな場面で手が止まっ てしまうことがあるので、悩むよりもとにかく情報を収集して手を動かせば、道が開けると勇気づけら れました。 |
・今の自分でいいんだと自信が持てました。インプット量を多い状態に保ちながら、実践とアウトプッ トをくりかえして、つど原因を分析して本質に肉薄していけばいいんだいいんだということに気がつき ました。また、おすすめの書籍をしれたことや、曼荼羅チャートについて知ることができたので、まず は曼荼羅チャートを仕組みとして組み込んでいこうと思いました。 |
・何かをデザインなどする際、良いアイデアが浮かばない場合、自分のセンスがないのだろうと考え てしまっていた。しかし、津嶋さんの話を聞いて、圧倒的にインプット量が足りていないのだと分かり、 もっとインプットを増やすべきだと考えることができるようになった点が成長したと思う。 今できるかわからない目標でもそれを実現することを中心に物事を見て、働きかければ実現できる可能 性は高まる。 |
・ある日突然見えるようになるであろう、第六感を鍛えて獲得しようと思うようになったこと。 |
・自身の専門にしがみつくことなく、果敢に新しいことに挑戦していくことが大切だと気づくことがで きました。 |
・「成果が出る前に辞めてしまうのが最大のリスク」「とりあえず作ってみる」ということが自分に大 きく刺さりました。何かをやろうとするときに準備に時間をかけすぎたり、最初から細かい部分にこだ わりすぎたりして、結局やめてしまうことが多かったと感じます。まずある程度形にして、そこから深 くしていくというプロセスを意識して物事に取り組んでいけたらいいと思います。 |
・未来は予測するものではなく、個人の意思で作っていくものという考え方にとても惹かれました。こ の先どうなるのだろう?どうすればいいのだろう?と悩むことがありましたが、自分で設計して作って いけばいいのか、と思いました。 |
・すごくおもしろかったです。新たな世界に飛び込むときの思い切りのよさがすごいなと思いましたが、 それで結果を出せるかどうかはシステム全体を俯瞰できていること、そして最終的な目的 (ビジョンのよう なものでしょうか)が明瞭になっていることが必要なのだろうかと勝手に考えていました。どんな分野でも デザインという概念と、成果を出せないままやめるのがリスクであるという考え方 (早い段階では成果が出 なくても簡単にあきらめないという考え方)は共通の武器になるのだろうと思いました。また、読書百遍意 自ずから通ずという言葉が自分の価値観と近いなと思いました (かっこいい言葉なので覚えおこうと思いま した)。 |
・「鈍感力を上げる」という言葉は非常に印象深かったです。自分自身も鈍感力を身につけられるよう磨 いていきたいと思います。 |
・新しいものに挑戦する上でも、既存の概念の分解が重要であるということ、目的やゴールを明確に設定 すること(ただし幅を持たせてもよい)、理論より実践することが最速の学びにつながるなど、自分に できているかどうかを問いかけたくなった。 |
・目標設定に柔軟性を持たせるという考えは目から鱗。 |
・「人とのつながりが、自分の枠や天井を壊してくれる」というのが印象的だった。津嶋さんご自身が、 鳥人間のプロジェクトを立ち上げようと動いていたときに実際にそういった経験をされているだけに、意 思をもってとにかく行動を起こすことの重要性が再確認できた。 どの組織・団体であっても引継ぎに苦労するのだなと面白く思いました。初代メンバーは意外と楽に開発 できるというのは意外でしたが、確かにその通りだと思いました。 |