2020年度 第2回 PERSEUS講演会
「宇宙系スタートアップ起業とそのチャレンジ」開催報告
今回は、Zoomを使って、株式会社Infostellarの倉原氏をお招きし、宇宙ベンチャーに関することをテーマにZoomを使って講演していただきました。
日 時 | 2020年7月14日(火) 10:00~12:00 |
参加者数 | 学生58名(B1 9名,B2 13名,B3 14名,B4 9名, M1 5名,M2 6名,D2 1名, D3 1名)、教職員・関係者 15名 |
講演では、学生日本の宇宙スタートアップ企業である株式会社Infostellarの企業の説明や、講師の倉原氏ご自身が起業した理由・今後の挑戦についてもご講演頂き、倉原氏の起業における貴重な体験に刺激を受けた学生も多くいたと思います。講演中も学生より多くの質問がでており、学生にとって有意義な時間となりました。
また、参加学生からレポートを書いていただきました!
PERSEUS講演会「宇宙系スタートアップ企業とそのチャレンジ」
●航空宇宙工学課程二年 山本康平さん
先日、株式会社Infostellarの倉原直美さんに講演を行っていただきました。
初めにInfostellarの活動について伺いました。現在、宇宙系のスタートアップをしようとする人は地上局のネットワークを独自で開発する必要があり、そのことがスタートアップの成功率を下げています。そこでInfostellarが衛星オペレーターの代わりに地上局のネットワークを構築することで、衛星のオペレーターが一度そのネットワークに接続するだけで好きな時にいろいろな地上局に接続できるようになる、というものでした。
次に倉原さんがInfostellarを起業した理由について伺いました。日本の自動車業界(約68兆円)、日本の医療業界(約25兆円)に比べても世界的な宇宙産業の規模(36兆円)は産業として小さく、宇宙に携わりたいと思う人がいても、宇宙産業が抱えられる人数が少ないため選択肢が少ない。また、宇宙産業の中では静止衛星の業界が一番大きく産業として成功しているといえるが、周回衛星については売り上げが少ないためバリューチェーンが貧弱であり、優秀な人材が他の産業に流れていくという現状は初めて知ることが多く勉強になると同時に、将来宇宙産業に携わりたいと考えている自分にはショックでした。
チームで活動していく際に難しい点についても話をしてくださいました。スタートアップを行い、会社が成長するにつれてメンバーと会社との相性を考えて入れ替える必要があるため、創業時のメンバー(17名)のうち現在も活動をしているのは6名しかいないというのは衝撃を受けました。
最後に「夢を計画に落とし込む」という言葉で講演を締めくくられました。これまで1年間なんとなくで大学生活を送ってきた気がしていた自分はこれをきっかけに、もう少し将来について具体的に考えていくべきだと思いました。
●航空宇宙工学課程 2年 松本晃宜さん
倉原さんの講演会を聞いて終始感じたことは倉原さんの宇宙に対する思い入れの強さです。お話のあらゆるところで宇宙産業を大きくしたい、という内容をお話しいただきました。また、スタートアップを始めてから宇宙をその手段としたのでは無く、もともと衛星開発に携わっている中で、優秀な人材の他業種への流出や宇宙産業は即座には利益にはつながりにくい、周回衛星のビジネスの規模は小さい、といった課題にぶつかり、その課題を解決して、宇宙産業を活性化するための手段としてスタートアップを選択した、というお話からも宇宙産業に貢献したい、という意思の強さを感じられ、やはり、自分で新たな事業を立ち上げようとする人のエネルギーは非常に強いと感じました。
また、宇宙ビジネスということだけでなく、スタートアップそのものについても詳しく説明していただきました。 特に人材の入れ替えが必要になる、という話はスタートアップの現実を思い知らされたようで印象に残りました。フェーズによって会社が主に取り組まなければならないことが変わるため、人材も入れ替えなければならないのは厳しい世界ならではだと感じました。初期にはアイデアだけで資本を得られるようにしなければならないし、中期にはアイデアを実現するために技術的な開発をしなければならない。というようにどのフェーズも異なる難しさがあることがわかりました。
最後には夢を夢のままで終わらせないためにプランを立てるというお話をしていただき、頭の中で憧れるだけでなく具体的なプランを立てて行動に移すということは今の自分に足りない部分であるということを痛感しました。