宇宙スタートアップ企業見学ツアーレポート報告 

本プログラム事業の一環として、アントレプレナーシップ涵養のため超小型衛星プロジェクトに参加しているSSSRC学生対象に「宇宙スタートアップ企業見学ツアー」を開催いたしました。

日 程 2019年7月9日(火),10日(水) 2日間
訪問先 ・宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE2019」

(会場:虎ノ門ヒルズフォーラム5F[東京都港区虎ノ門1町目23])

・日本電産株式会社 中央モーター基礎技術研究所(神奈川県神奈川県川崎市幸区新川崎2-8)

参加学生 6名(M2:3名,M1:2名,B3:1名)

初日は、東京都虎ノ門で開催の「SPACETIDE2019」に参加。

SPACETIDE2019-300x225SPACETIDEは、日本初となる民間による宇宙ビジネスカンファレンスを通し宇宙ベンチャー、大手企業、異業種企業、政府機関等の関係団体や、起業家、投資家、エンジニア、デザイナー、研究者などの個人が交流するプラットフォームの役目とし、開催され今年で4回目となります。

参加学生からレポートをいただきました


宇宙ベンチャーに加え異業種企業、政府機関、大手企業が集結する日本初、民間による宇宙ビジネスカンファレンスであるSPACETIDE 2019に参加した。研究者やエンジニアだけではなく起業家、投資家やデザイナーも参加し、宇宙ビジネスについて熱く議論が交わされていた。さらに、海外の業界リーダーも参加しており、各国のビジョンや取り巻く状況を知る良い機会となった。また、こうした多様なパネリストによる議論は、様々な角度から行われたため、視野を広げることもできた。
パネルディスカッションの中で特に印象に残ったのは、宇宙ベンチャーの起業家たちの実態に迫るセッションである。なぜ起業しようと決意したのか、なぜ宇宙ビジネスに取り組もうと考えたのかについてお話ししてくださった。ネットの記事や本では語られることのない本音を聞くことができ、非常に興味深かった。会社を辞めてから起業したと語られる部分は、実際はそう簡単ではなく、長い間逡巡していたり、やりたい事が見付からずニートをしていたりしたそうだ。貯金の無くなる恐怖と周囲からの嘲笑を一顧だにもせず、そこから一歩踏み出すことのできる人が起業家に向いているとスピーカーの方々は仰っていた。
また印象に残ったのは、スピーカーの方々から終始感じた熱意である。自ら掲げたビジョンを絶対に実現させるんだという気持ちが言葉にせずとも感じ取ることができた。こうした熱意が投資家やエンジニア等の人々の心を動かし、ビジョン実現に協力させているのだろう。この滲み出る程の熱意を持っていないと他者を巻き込んで物事を前に進めることはできないのであろう。こうしたことを考えながら話を聞いていると、果たして私はそうしたリーダーであるのかと自らに問わずにはいられなかった。「ひろがり」プロジェクトのリーダーに就任してから3年が経った。プロジェクト発足時のような熱意を今も持ち続けているのだろうか。日々のタスク、進捗管理と意思決定に忙殺され、いつの間にか失われつつあるのではないだろうか。衛星開発を「こなす」ことになっていないだろうか。初心忘るべからずという重要な気づきを与えてくれるセッションだった。
SPACETIDEは宇宙ビジネスの最新状況、各国の開発計画、宇宙の利用方法まで幅広い内容のカンファレンスであった。興味のある方は参加してみてはいかがだろうか。

航空宇宙工学分野 修士二年 飯田 輝澄

 

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〈SPACETIDE会場の様子・展示物〉

 


二日目は、神奈川県川崎市にある「日本電産株式会社 中央モーター基礎技術研究所」へ見学をさせていただきました。こちらの施設では、日本電産株式会社での基礎研究のさらなる高度化と強化、ならびに応用研究分野の拡大を目的とする研究所です。

こちらも参加学生からレポートをいただきました


神奈川県川崎市にある「日本電産株式会社 中央モーター基礎技術研究所」へ見学をさせていただきました。新川崎駅は、都会なのにさびれた印象のある駅でしたが、そこから歩いて10分ほどで到着した研究所の建物はガラス張りでとてもきれいで羨ましく思いました。
受付ロビーには大小さまざまなモーターが展示されていて、スマホに入る小さなモーターから大型モーターまで多くの製品でモーターが使われていることがわかりました。

社内の見学では、モーターの故障予知技術や3Dプリンターなど様々な製品や設備を見せていただきました。その中でも、ドローン用のモーターが印象に残りました。1500Wのドローンモーターの冷却フィンが昔のプロペラ機のエンジンのように見えたこともありましたが、モーター単体ではなく、ドローン全体を考えてモーターの設計をしているという話が印象に残りました。
また、3次元プリンターが開発品の試作にすぐに対応できるように運用されていることや、新しい材料としての柔らかいプラスチックも開発されていることなど、印象に残りました。さらに、騒音を計測する無響室も見せていただきました。すぐ隣を走る電車からの振動やエアコンのダクトの騒音を抑えないといけないなどの工夫がされているという話も印象的でした。

見学後には、府大OBの社員の方と懇談をする機会をいただきました。
その中で、「これから日本電産株式会社で必要とされている人材は、専門知識があることに加え、ソリューションとしてお客様に価値を提供できる人材である」というお話は印象に残りました。
そのほかにも、「製品開発の中では、モータ単体では問題なくてもシステムとして問題が出てくることがある」という話が印象的でした。私たちの超小型衛星ではシステム思考を導入していますが、そのようなことは実製品の開発においても重要な考え方だということを理解することができました。
働き方改革に関して「残業ゼロ」を実現するという話があり、とても魅力的に感じました。一方で、そのためには現在の仕事のやり方を変えていく必要があり、それをどのように達成していくかという課題があるとのことで、私たちの超小型衛星開発においても「ムダ」な時間は多くあり、それを減らしていくことを考えないといけないと強く思いました。
これに関連して、会議室に掲示してあった「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という額がとても印象に残りました。

今回の見学では、単に会社の設備を見学するだけでなく、府大OBを含めた社員の方との懇談があったことで、開発現場でのシステム思考が実際に使われていることがわかったたけでなく、就活を来年に控えた自分にとって働き方の面からもとても印象深いものでした。

                                航空宇宙工学分野 修士一年 坂野 文香

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〈日本電産株式会社 中央モーター基礎技術研究所にて〉

 


今回の施設見学でお聞きできたお話は、大阪府立大学やプログラムの共同参画機関である株式会社レヴィで進めているシステム思考とアントレプレナーシップの教育プログラムを受ける学生たちに大きな励みになったものと思います。

日本電産株式会社 中央モーター基礎技術研究所様、お忙しい中ご対応いただきありがとうございました!