ロールモデル

2025年3月26日

鍋島美奈子

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研究と教えることが好きなら、ぜひ博士号を
取得してアカデミアの道を目指して欲しいです。

研究テーマを教えてください。

都市環境、都市エネルギー・設備

研究の内容を教えてください。

都市部では地球温暖化とヒートアイランドの影響を受けて夏季屋外熱環境の悪化が顕著になり、猛暑対策が必須となっています。ヒートアイランド適応策として、駅前広場などの公共空間では日よけ屋根やミスト噴霧などを組み合わせたクールスポットの創出が進められています。より質の高いクールスポットを普及させるために、対策技術を正しく評価する必要があり、計測方法や評価指標に関する研究をおこなっています。また、ヒートアイランド緩和策として、都市大気への顕熱排熱を減らすために、街区レベルの熱融通による省エネルギーに関する研究もおこなっています。

今後達成したい研究目標や、
現在の研究を社会にどう貢献させていきたいかなど、教えてください。

都市部における市民生活がWell-beingであり、将来世代に質の高い生活を受け継ぐことが必要と考えています。グリーンインフラや暑熱対策の機能が充実した持続可能な社会システムの構築に貢献したいです。

その目標を達成するために、研究時間の確保などの日々行っている工夫や、
取り組んでいる活動などを教えてください。

産官学民で構成するヒートアイランド対策技術コンソーシアムでの活動などに積極的に関り、自身の研究成果を社会に実装することを目指しています。工学研究科では、学部学生や大学院生の研究指導の積み重ねが研究業績に直結しているので、このような研究活動に最も多くの時間を割くことができるようにスケジュールを調整しています。一方で、専門知識を活かした社会貢献活動にも重きを置いており、大学運営や国・地方自治体での審議会委員などの役割も増えているので、忙しくなりすぎないように時間管理をしています。

時には研究が止まることや、思うような研究成果が出ないときもあるかと思いますが、そのようなときにどうやって乗り越えるかを教えてください。

図書館で研究に関係する本を探したり、熟読する時間を確保できた時、幸せ感じます。アイデアが枯渇しそうになった時など、良い本に出合えると道が開けることがあります。

研究者としてのキャリアを諦めようと考えたことはありますか。
もしあれば、そのとき何を思い、考えて、
やはり継続していこうという決断に至ったのかを教えてください。

ありません。
約10年前になるが、自身のがん治療のため研究活動が停滞してた時期がありました。週末に化学療法を行いながら、平日は通常勤務をしていましたが、学科内の業務負担を減らしてもらうなどの配慮をしてもらい、なんとか乗り越えられました。結果的に、治療に専念するより、研究や教育を続けた方が、前向きにいられたと思い ます。

研究者へとしての道を歩んでいる若手研究者へメッセージ

研究が好きで、教えることが好きであれば、ぜひ博士号を取得してアカデミアの道を目指して欲しいです。夢をもって目の前にある課題に全力で取り組むことが、次のチャンスにつながっていると信じて研究に没頭して欲しいです。ある意味、研究は孤独な戦いになることが多いけれど、学会等でのネットワーキングで、切磋琢磨できる仲間づくりも大切だと思います。

PROFILE

鍋島 美奈子

  • 大阪府立北野高校
  • 大阪市立大学生活科学部
  • 大阪市立大学大学院生活科学研究科前期博士課程
  • 大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程
  • 日本学術振興会特別研究員DC2
  • 大阪市立大学大学院工学研究科 助手
  • 大阪市立大学大学院工学研究科 講師
  • 大阪市立大学大学院工学研究科 准教授
  • 大阪市立大学大学院工学研究科 教授