動物社会学研究会のご案内
2023年2月1日
- 研究会(2022年度)
第9回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第9回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2023年2月4日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟1階会議室(E108)
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
一夫一妻の種であるクマノミは古典的一妻多夫にもなるのか? 小林 優也(D1)
古典的一妻多夫とは、性役割が逆転し、雄が子を保護し、雌が配偶者防衛を行う婚姻形態である。この興味深い特徴から動物の社会進化を理解する上で重要な課題であるが、既知の例では調査が困難であり、資源の豊富さとの関連など諸仮説が提唱されている段階に留まる。クマノミは通常、繁殖ペアと数個体の劣位個体からなる集団を形成し、最大個体が雌、次に大きい個体が雄、それ以下の個体は繁殖に参加しないという順位制に沿った一夫一妻制の社会を持つ。最近、我々は宿主イソギンチャクを多数保持し、繁殖雄とは別の雄と思われる雄を有する成熟雌を野外で発見した。そこで、このようなクマノミが古典的一妻多夫社会を有するか検討した。雌の行動圏を調べたところ、複数の雄と重複する形状の行動圏を持っていた。一方、雌は常に大きい方の雄と繁殖し、一妻多夫は支持されなかった。また、体サイズを比較したところ、第一雄は雌と同等の大きさであり、一夫一妻雄と比較した場合でも、第一雄の方が大きかった。以上から、本種の婚姻形態の可塑性は低く、宿主の豊富さは本種の社会に別の影響を及ぼすことが示唆された。第二雄は自ら縄張りを持たず、宿主の豊富な雌の縄張りに留まる方が将来的な利益になると考えられた。
クマノミ類の共存と競争に影響を与える色彩パターン 林 希奈(ゲスト:OIST)
透明度が高いサンゴ礁域に生息する魚類にとって、色彩パターンは、同種・捕食者・競争相手などを視覚で判別する上で重要である。サンゴ礁域に生息するクマノミ類は、宿主イソギンチャクと共生する。クマノミ類は、宿主イソギンチャクを縄張りとして防衛する一方で、他種のスズメダイ科・テンジクダイ科・ベラ科魚類とともに宿主イソギンチャクを利用することがある。しかし、横帯模様を持つ魚類が宿主イソギンチャクを利用することは観察されなかった。また、カクレクマノミのコロニーに黒地に白い縦帯模様と黒地に白い横帯模様を持つ模型を接近させ、攻撃頻度を比較した結果、縦帯模様に比べ、横帯模様の模型に対する攻撃頻度が高かった。クマノミ類は白い横帯模様を持つという特徴があるが、この横帯模様はクマノミ類にとって、同種/別種を識別するための重要な色彩パターンであると考えられる。さらに、水槽内で孵化・育成された120個体のカクレクマノミ未成魚(横帯3本あり)に、無地・横帯1本・横帯2本・横帯3本の4種類の模型を提示した。その結果、横帯3本の模型に対する攻撃頻度が最も高く、無地の模型に対しては攻撃頻度が最も少なかった。カクレクマノミは未成魚の段階で、同種の横帯の本数を認識し、攻撃している可能性が示唆された。
次回の研究会
次回研究会は2月11日(土) 13:00より、以下の内容で開催予定です。詳細及び要旨は2月6日に公開いたします。
トゲウナギMastacenbelus moorii に追従する魚食性シクリッドLepidiolamprologus elongatus の狩り戦略と利害関係
橋本 爽良(M1)
協同的一妻多夫魚Julidochromis ornatus の優位オスの除去は他のグループメンバーにどのような影響を与えるのか?
細田 千咲(M1)
連絡先
安藤(研究会渉外担当) a19se001★st.osaka-cu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。