動物社会学研究会のご案内
2023年3月8日
- 研究会(2022年度)
第13回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第13回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。今回が本年度最後の研究会です。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2023年3月11日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟1階会議室(E108)
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
14年ぶりのザンビアを訪れて考える今後のタンガニイカ研究 安房田 智司
タンガニイカ湖固有の単系統のカワスズメ科魚類は、 婚姻形態と子育てが最も多様化した魚類の一つである。 特に、 ヘルパーが子育てを行う社会システムである共同繁殖の維持機構や進化の研究は、 人を含めた高等脊椎動物の社会を理解する上で極めて重要である。 同湖で共同繁殖魚が報告されてから 40 年が経過し、 重要な発見がいくつもあった。 大阪市大 (大阪公大) では、 これまで共同繁殖魚を9種発見し、 それらの種の社会を明らかにした。 共同繁殖は血縁ヘルパー型のみと考えられていたが、 共同的一妻多夫型もあり、 共同繁殖に多様な様式が存在すること、 また、 共同繁殖種は岩場だけでなく、 砂地など様々な環境に生息していることが見つかった。 さらに、 鳥類でも極めて珍しい古典的一妻多夫も見つかった。 そして、 野外での生態解明が中心であった魚類の共同繁殖研究も新時代に突入しつつある。 それが認知研究である。 昨年、 14 年ぶりにザンビアを訪れ、 タンガニイカ湖で調査することができた。 人々の生活や私たちの研究手法に大きな変化があったものもあれば、 全く変わらないものもある。 ザンビアで感じたことも含め、 カワスズメ科魚類、 特に共同繁殖種における生態・認知・脳から探る 「認知進化生態学」 研究の今後の展開を議論したい。
海産カジカ科魚類における精子形成と運動性の適応的意義の検証 伊藤 岳(特任)
多くの魚類は体外環境に精子を放出し体外受精を行うが、一部の魚類は交尾により体内受精を行う。とりわけ、海産カジカ科魚類は近縁種に体外受精種・体内受精種を有する非常に珍しい分類群であり、受精様式の進化に伴う精子の進化研究のよいモデルとなりうる。これまで、52種の海産カジカ科魚類の精子の形態を調べたところ、系統関係によらず、体外受精種では精子頭部が丸く、体内受精種では頭部が細長くなることが明らかとなった。加えて、このような進化は海産カジカ科魚類にとどまらず硬骨魚類で広く共通していることを明らかにした。長い頭部を持つ理由として、粘性のある体内環境への適応が考えられる。そこで、本研究では体外受精種のヒメフタスジカジカと体内受精種のキマダラヤセカジカの精子を用い、粘度の異なる溶液での精子の運動性をスーパースローカメラで解析することで長い頭部のもつ適応的意義を検証した。遊泳映像から、ヒメフタスジカジカの精子は振幅運動により前進するのに対し、キマダラヤセカジカの精子は回転運動により前進し、近縁種でも運動様式が大きく異なることが明らかとなった。一方、キマダラヤセカジカの精子はヒメフタスジカジカの精子に比べ、粘度が増加しても遊泳速度が減少しないと予測されたが、予想に反し、遊泳速度の減少率は両種で変わらなかった。これらの結果をもとに、精子形態の適応的意義について議論する。
過去の研究会の発表者と発表要旨
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連絡先
安藤(研究会渉外担当) a19se001★st.osaka-cu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。