動物社会学研究会のご案内
2023年12月25日
第5回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第5回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2023年12月28日(木) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟1階会議室(E108)
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
共同的一妻多夫の成立要因に迫る 〜タンガニイカ湖産Julidochromis ornatusの優位オス除去実験より〜 細田千咲(M2)
共同的一妻多夫とは、1個体の雌と非血縁の複数雄が1つの巣で繁殖する極めて稀な配偶システムで、鳥類と魚類の数種でしか報告例がない。この配偶システムでは、雌が複数の雄に卵を分配するため、雄の利益は他の配偶システムに比べ限定される。そのため、共同的一妻多夫の成立要因と維持機構の解明は、雌雄の繁殖・子育て戦略の進化の理解に重要であると考えられる。これまで父性認識操作など雌側の視点の研究はあるが、雄同士がなぜ協力して繁殖するのかは不明なままである。本研究では、共同的一妻多夫の成立要因と維持機構の解明を目的として、一夫一妻もしくは共同的一妻多夫で繁殖するタンガニイカ湖産カワスズメ科魚類Julidochromis ornatusの子育て行動の野外観察と除去実験を行った。野外観察の結果、共同的一妻多夫グループにおいて、優位雄(α雄)は他種に対する防衛を行い、劣位雄(β雄)は稚魚の近くに留まり子育て行動をするという役割分担があることが明らかになった。そこで、他種への攻撃を担い、子育ての要となるα雄を除去する実験を行った。その結果、除去後の雌もβ雄も除去前に比べて子育て行動に変化は見られなかったが、稚魚の生存率は有意に低下した。また、半数以上のグループで数日以内に新しい雄の加入が観察され、新規加入した雄は、除去されたα雄と同程度の体サイズであった。さらに、新規加入した雄がいるグループにおいて、除去した1週間後にα雄を再導入した際には、雌が小さい方の雄を追い出す行動がみられた。これらの結果から、J. ornatusの共同的一妻多夫の成立には、体サイズの構成と保護の役割分担が重要な鍵となると考えられた。
過去の研究会の発表者と発表要旨
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連絡先
安藤(研究会渉外担当) se23697g★st.omu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。