動物社会学研究会のご案内

2024年12月3日

  • 研究会(2024年度)

第2回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第2回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2024年12月7日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟第10講義室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

イトヨの鏡像自己認知と行動変遷の解明 中野翔太

動物の認知研究は古くからされているが、中でも鏡像自己認知とは鏡に映る自身の鏡像を自分であると認識できることを指し、自己意識の指標とされてきた。動物行動学のモデル生物であるイトヨはシンプルな行動である生得的開発機構で行動の説明が多くされてきた。しかし同様にイトヨの認知研究では生得的開発機構では説明し切ることができない結果も得られている。イトヨは単純な行動原理なのか、自己意識を元に行動選択ができるのかを明らかにするためにイトヨでの鏡像自己認知能力を検証した。我々の研究室で開発された新手法である顔入れ替えを用いて、イトヨの自身と他者に対する攻撃性の違いを検証した。その結果自身の写真には攻撃を行わず、他者の写真には攻撃したことから鏡を見たことで自身の姿、特に顔を覚え写真を識別していたことが明らかとなった。

また鏡像自己認知できる種は特定の行動変遷が見られる。攻撃や挨拶などの社会的行動、鏡の随伴性を確認する行動、そして鏡像が自分であると分かった上でとる自己指向行動と3段階あるがイトヨの社会的行動と随伴性の確認行動の境目は不明である。今回は鏡を見ている間の4時間を解析することで行動変遷の探索を試みた。イトヨの行動結果を共有することで議論を交わしたい。

大阪の都市緑地に生息する鳥類相の長期的な変化:繁殖期と越冬期の比較 寺島建

都市における生物の分布と環境との関係性を明らかにすることは、動物生態の解明や都市生態系の保全において重要な要素である。また都市内の緑被や都市の構造的構成は時間とともに変化する動的なものであるため、都市の生物の個体数やコミュニティに与える時間の影響は考慮するべき要因である。すなわち時間的な変化が生物種それぞれの分布にどのように影響を与えるかを明らかにすることは、生態系の解明に重要なものであると考えられる。本研究では都市生態系の基盤となりうる都市緑地に注目し、鳥類相と都市環境の関係性とその長期変化の分析を目的として、2022・2023・2024年の夏季と冬季に大阪の都市緑地120か所で鳥類の生息状況を調査し、先行研究である橋本ら(2003)の2000年のデータを比較対象として繁殖期と越冬期における鳥類相と都市環境の関係性の変化を分析した。分析にあたり、緑地の環境要因に加えて緑地周辺の環境の影響を考慮するために緑地を起点とした様々な距離のバッファにおける環境要因も定量化した。これらを説明変数とし各鳥種の在不在を応答変数とする一般化線形モデルを構築してモデル選択を行うことで、鳥類が最も影響を受けている環境要因と空間スケールを検討した。各空間スケールの景観要素を変数としたモデル選択の結果、時代間で鳥種の生息を説明する要因や影響を受ける空間スケールが種ごとに変化しており、またその反応の方向性が異なることが示された。

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

森(研究会渉外担当) a20se029★st.osaka-cu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。