動物社会学研究会のご案内
2024年12月17日
- 研究会(2024年度)
第4回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第4回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2024年12月21日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟第10講義室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
タンガニイカ湖産シクリッドNeolamprologus savoryiにおける仔魚のきょうだい間闘争と親による闘争の仲裁 森勇人
子育てを行う動物では、しばしば、親子間で最適な生存戦略が異なる。両親は自身の繁殖成功度、すなわち子の数を最大化しようとする。一方で、子は親の投資や資源をより多く独占することで自身の適応度を高めることができるため、きょうだい間闘争が起こり、殺しあうことも少なくない。きょうだい殺しが親の繁殖成功にとって不利益となる場合、親はきょうだい間闘争を仲裁し、子の死を防ごうとすることが予想される。きょうだい間闘争は、哺乳類や鳥類では多く報告されているが、親による仲裁行動は、親子間コンフリクトの理解において重要であるにも関わらず、哺乳類3種、鳥類1種の研究しか無く、魚類では1種のみの記載にとどまる。私たちの研究室では、タンガニイカ湖に生息する協同繁殖魚サボリ(Neolamprologus savoryi)の親が、水槽内で稚魚間の喧嘩闘争を仲裁するような行動をすることを発見した。しかし、サボリも含め、魚類のきょうだい間闘争と親による仲裁行動の実態と機能は不明である。そこでまず、きょうだい間闘争に焦点を当てることにした。サボリの稚魚は、遊泳するようになるとすぐ激しい闘争が起こる。サボリの稚魚を水槽内で実験的に闘争させ、時間経過に伴う闘争の変化や闘争の帰結、闘争に関連する要因を探索した。本発表では、現時点で得られているデータをもとに、サボリのきょうだい間闘争について考察する。
ホンソメワケベラは鏡像自己認知する過程で論理的推論をしているか? 山川莉々葉
鏡に映る自分の像を自分であると認識すること(鏡像自己認知)は自己意識の指標と考えられており、ホンソメワケベラでも明らかとなった。この時、ホンソメワケベラは自分と鏡像の随伴性を確認することで、「鏡像が自分である」と結論すると予測されており、その際、鏡の前で繰り返し行われる普段は見られない特異な行動が観察される。つまり、随伴性の確認行動は「鏡像が自分である」という仮説を立て、検証するためにしている行動だと解釈される。よって、確認行動の途中で鏡を閉じ、動かない自己写真を提示すると、この仮説は棄却され、自己写真を他者と結論して攻撃すると予想される。ホンソメワケベラの随伴性の確認行動は素早くターンする、体をくねらせて泳ぐなど、体全体が映るサイズの鏡を必要とする。そこで本実験では、小さい鏡を提示し確認行動が十分にできないようにした。実験の結果、大きい鏡だと十分に確認行動が終了している鏡提示後から3時間30分後の小さい鏡を除去する直前まで随伴性の確認行動が見られ、その後に提示した自己写真には攻撃が見られた。この結果はホンソメワケベラが仮説を棄却し、鏡像は自分であると結論できなかったことを示し、随伴性の確認行動は仮説検証であることを示唆している。本研究会では実験結果の報告とともに、魚類での論理的推論の可能性について議論したい。
過去の研究会の発表者と発表要旨
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連絡先
森(研究会渉外担当) a20se029★st.osaka-cu.ac.jp
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