動物社会学研究会のご案内

2025年1月15日

  • 研究会(2024年度)

第7回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第7回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2025年1月18日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟第10講義室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

愛媛県南部のウミシダ類に住み込み型共生する動物種と繁殖戦略:特にコマチテッポウエビに注目して 髙橋昌悟

温帯から熱帯の海洋では多様な共生生物が知られる。しかし、海洋生物の共生関係については、短期観察や採集による記載的な研究に留まり、多くの共生関係の実態は不明である。クマノミとイソギンチャクのように、共生者が宿主に「住み込み型共生」をしている例も多く知られる。共生者の大部分は宿主に守られて生活するため、共生者は宿主を離れては生きられない。そのため、住み込み型共生者は、性転換や宿主の操作など、配偶のために特有の繁殖戦略を持つ場合も少なくない。ウミシダ類に住み込み型共生する動物も多く知られるが、生態学的研究はほとんどなく、共生関係の実態も不明である。そこで本研究では、ウミシダ類に住み込み型共生を行う動物種を明らかにするとともに、出現頻度の高いコマチテッポウエビの繁殖戦略を明らかにすることを目的とした。調査地の愛媛県南部の室手海岸には、約15種類のウミシダ類が生息しており、約10種の共生動物が確認できた。コマチテッポウエビ(以下、エビ)はコアシウミシダ、ナガレコアシウミシダの2種類に特異的に共生していた。また、成体のエビは1個体のウミシダに、高い確率で雌雄のペアで生息していた。ペアの雌は雄よりも体が大きいこと、ウミシダ類はほとんど移動しないこと、テッポウエビの仲間では性転換を行う種が知られていることから、本種も性転換を行う可能性がある。研究会では、以上の結果を踏まえ、ウミシダ類に住み込み型共生を行う動物の実態とコマチテッポウエビの繁殖戦略について議論する。

卵保護中のサキンハゼの雄による卵隠蔽行動の機能解明 小林龍太郎

ヒトやチンパンジーなどの社会的動物は「相手(他者)の立場で考える能力」を持ち、他者の考えを推察することで複雑な個体間関係を構築している。他者の立場で考えるには、他者の視点を推測し、何を見ていて何が見えていないかを推察する能力が必要である。この能力は一部の霊長類で確認されているものの、魚類での検証例はなく、魚類における他者の視点取得の解明は脊椎動物の認知機能の進化を理解するうえで極めて重要である。本研究では、魚類の中でも特に他者の視点を推測している可能性があるサキンハゼに注目した。南西諸島の砂地に生息するサキンハゼは、二枚貝や落ち葉などの上面に産卵し、卵が外界に露出した状態で雄が保護するという特殊な生態を持つ。また、サキンハゼの雄は産卵床に砂を被せるという興味深い行動も知られている。この卵隠蔽行動が卵捕食者に対する防衛行動であるなら、サキンハゼは卵捕食者の視点を推測し、状況に応じて卵を隠蔽している可能性がある。本研究では、サキンハゼが「卵捕食者の視点を推測する能力」を持つことを検証する基盤となる「サキンハゼがどのような状況で産卵床に砂をかけるか」を明らかにすることを目的とした。2ヶ月間の西表島での潜水観察により、実際に、サキンハゼの雄は産卵床に頻繁に砂を被せたり、払いのけたりしており、これは同種他個体による卵食行動が関係していると考えられた。本研究会では、卵保護雄に接近する同種他個体の数や動き、視線に注目して解析した卵隠蔽行動の結果を元に考察する。

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

森(研究会渉外担当) a20se029★st.osaka-cu.ac.jp
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