動物社会学研究会のご案内

2025年1月21日

  • 研究会(2024年度)

第9回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第9回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2025年1月25日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟第10講義室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

協同繁殖魚Neolamprologus pulcherの生後の環境は個体識別能力の発達にどのような影響を与えるのか 河田真輝

個体識別能力は多くの動物において、社会関係の維持に重要である。例えば、隣接する縄張りの個体「既知個体」とdear-enemy関係を築き、初対面の個体「未知個体」と識別して縄張り防衛のコストを削減する。また、ヒトの場合、生まれ育った環境にいる自人種の顔の区別は容易だが、異なる人種の場合は識別が困難になる異人種効果が知られている。つまり、生まれてから頻繁に個体を見たり、接触したりすることで個体識別能力が発達するのだと考えられている。しかし、ヒト以外における個体識別能力の発達過程は未解明な部分が多い。Neolamprologus pulcher(以下、プルチャー)は個体識別能力を有し、複雑な社会関係を築く。また、本種は顔の模様に地域変異があり、異人種効果が知られている。そこで、本研究ではプルチャーのdear-enemy関係を応用し、孵化した仔魚を異なる社会環境で育てることで、個体識別能力が変化するかどうかを検証した。まず、プルチャーの仔魚を、同地域のペア・別地域のペア・他種のペア・ペアなしの水槽に提示する4条件で育てる。次に、稚魚に個体識別の指標となる顔の模様が発達した段階で、同地域・別地域・他種それぞれの既知・未知個体を提示し、攻撃時間の違いを調べることで、社会環境の違いによって稚魚の個体識別能力の発達が異なることを検証した。

カワスズメ科魚類Perissodus microlepisの繁殖ペア個体間における音声コミュニケーション 福岡旭

音声は、ヒトも含む多くの脊椎動物でコミュニケーションのための信号として利用されている。近年、魚類でも音声(以降、鳴音)を発することが分かってきているが、魚類の鳴音研究の多くは記載的な内容に留まっており、鳴音が生じる前後の文脈や個体の社会的関係、つまりコミュニケーションの観点からの研究はほとんどない。タンガニイカ湖産カワスズメ科魚類Perissodus microlepis(以降、ペリソダス)は両親が口内保育を行う魚であり、正確な記録はないが、攻撃の際などに鳴音を発することが野外で確認されている。両親は口内で孵化した仔魚が泳げる大きさになると口から外に出す。危険が迫ると稚魚は親の口の中に入るか、水底に張り付く。しかし、親には何の動きもないにも関わらず、稚魚はどちらかの行動を素早く取っている。動きや情報の伝達速度から、稚魚は親が発する異なる音を聞き分けて行動している可能性が高い。そこで本研究では、水槽実験により、ペリソダスの鳴音の記載、稚魚の危険回避行動と親が発する鳴音の関係の解析のため、まずはペリソダスの繁殖を行いながら、繁殖ペアの鳴音の解明を行った。ペリソダスは飼育下での繁殖が難しく、前例も少なかったが、産卵、孵化に成功した。また、繁殖ペア個体の水槽の録音データを取ることができた。本研究会では、繁殖に成功したペリソダスの飼育状況と今後の研究計画の紹介、録音結果をもとにペア個体間での鳴音について考察する。

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

森(研究会渉外担当) a20se029★st.osaka-cu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。