動物社会学研究会のご案内

2025年1月31日

  • 研究会(2024年度)

第11回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第11回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2025年2月1日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟第10講義室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

ホンソメワケベラの鏡像自己認知から探る自己意識と脳の関係 小林永慈(M1)

言葉を話さない動物の自己意識は鏡に映った自分の像を自分とみなす、鏡像自己認知によって確認される。従来、自己意識は大脳が司るものであると広く認識されてきた。これは、自己意識の存在が認められたチンパンジーやイルカに発達した大脳が存在することが根拠の一つになっていると考えられる。しかし、近年、鏡像自己認知が可能であることが示されたホンソメワケベラの大脳に相当する領域(=終脳)は哺乳類と比較すると極めて単純で容積も小さい。また、魚類では終脳を完全に除去する実験が盛んに行われてきたが、終脳が無くても餌の場所を覚えるといった生活に必要な基本的な行動は可能であることが分かっている。これまで、魚類には自己意識が認められていなかったため、こうした行動は生得的解発機構と強化学習によって説明されていた。しかし、魚類にも自己意識が存在するのであれば、こうした行動にも自己意識がかかわっている可能性がある。もし、終脳がない状態で自己意識の存在が確認されれば、自己意識が大脳によって生み出されるという従来の定説を再検討しなければならない。本研究会では、私が現在進めている終脳除去をしたホンソメワケベラに鏡を見せた実験の結果と、これまでに報告された魚類の終脳除去実験やヒトの脳損傷研究を再評価することで、脳と自己意識の関係について議論したい。

日本列島周辺における植物の種子散布:島嶼の動物散布の謎 吉川徹朗(准教授)

種子散布は、さまざまな空間的スケールにおいて植物個体群の維持や拡大に寄与している。そのあり方は大きく2つに分けられ、一つは景観・地域スケールでの遠距離散布による新たな生息地への移住、あるいは個体群間の遺伝子流動である。もう一つは、局所的スケールにおける母樹・同種個体からの距離に依存する、子植物の死亡の回避である。多くの植物種にとって、これらのプロセスには動物による種子散布が深く関与しており、特に果実食者による被食散布と、貯食を行う種子食者による貯食散布は決定的な役割を果たしている。

 こうした観点から日本列島周辺とその島嶼における植物の種子散布を見てみると、さまざまな謎が見えてくる。一つは島嶼と島嶼への、あるいは本土から島嶼への植物の移住に関わる種子散布のあり方である。数十km〜数百kmに及ぶ長距離の種子の移動が起こっているとみられるが、これがどのような動物によって行われているのかは明らかではない。もう一つは、島嶼内における局所的な種子散布のあり方である。本土から離れた島嶼では特定の動物種が欠けていることが多く、植物にとって通常の種子散布者が不在の場合がある。こうした環境において、種子散布から始まる植物の更新プロセスがどのように行われているかは不明であり、これを明らかにすることは島嶼生態系の基盤の解明に関わる。今回の発表では、これらの点に関する既存の研究事例と今後の研究のアイデアを紹介する。

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

森(研究会渉外担当) a20se029★st.osaka-cu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。