動物社会学研究会のご案内
2025年2月13日
- 研究会(2024年度)
第13回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第13回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2025年2月15日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟第10講義室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
魚類における鳴音の機能解明:シクリッドは鳴音を使ってコミュニケーションを行っているのか? 井上 諒一(D2)
音声信号によるコミュニケーションは、哺乳類や鳥類など多くの陸上動物で行われている。一方、収音装置を水中に持ち込めないなどの技術的問題から、水中が動物の音に溢れているという事実が見落とされてきた。実際は海棲哺乳類のみならず、魚類も音声(以降:鳴音)を発しており、鳴音を利用した資源量推定など応用的な展開が期待されている。しかし、魚類の鳴音研究の多くは記載的な内容に留まり、コミュニケーションという視点に立脚した認知進化生態学的議論が欠如している。タンガニイカ湖固有のカワスズメ科魚類は、その婚姻形態や子育ての多様性から、脊椎動物の社会進化を考える上でのモデルシステムであり、鳴音を用いてコミュニケーションしている可能性が高いが、どの種が鳴音を使うのかすら不明である。本研究では、網羅的に本分類群の発音の有無を調べ、鳴音にどのような機能があるのかを野外調査で調べた。2年の調査の結果、20種の発音魚と6種の非発音魚を発見した。これらの鳴音のほとんどは動作時に副産物的に発生している音声であった。一方で中には、複数パターンの鳴音を発し、威嚇や個体関係の維持に利用していると考えれる種も3種発見した。特にBoulengerochromis microlepisは、繁殖ペア間で積極的に複数パターンの鳴音を発し、コミュニケーションしている可能性がある。本研究会では、カワスズメ科魚類の一連の鳴音研究を紹介するとともに、鳴音がコミュニケーションとして利用されているかも議論する。
夏の夜ゼブラガニの雄は雌の家へと車を走らす:寄生者(カニ)の宿主(ウニ)操作 幸田 正典(特任教授)
普段ゼブラガニは雌雄ともに単独でラッパウニに寄生し、この宿主を離れることはない。この宿主は単独で生活しているため、カニは配偶する上で問題を抱えることになる。カニがいかに配偶するかを野外で調べたところ、以下のようなやり方をしていた。雄は近くの雌の匂いを嗅ぐと、ウニ殻の頂点に登り匂いの方向(潮流の方向)を確認するような行動をしばらくする。その直後、匂い(流れ)の反対側のウニ殻の側面でウニのとげを動かす操作をする。するとウニは操作点とは反対側、つまり雌がいると思われる方向に進み出す。最終的に、雌の近くまで進むと(おそらく濃い匂いを嗅ぐ)、雄はウニから降りて雌カニがいるウニに乗り、その後雌とすぐに交尾する。カニの捕食者の多い日中には、この雄の「運転」は少ないと思われる。また、このようなウニの操作は雌には認められなかった。雌の匂いを嗅いでからの雄カニの一連の行動、-雌の滞在方向の確認、雌の方向へのウニの運転、雌近くまできてから下車して雌ウニに乗り配偶する行動―は、どのような認知プロセスでなされているのかを検討した。
過去の研究会の発表者と発表要旨
過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。
連絡先
森(研究会渉外担当) a20se029★st.osaka-cu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。