教室案内

1 本コースの研究内容、特色

中国は古くから日本にとって重要な隣国であり、様々な交流がありました。前世紀に不幸な歴史がありましたが、近年は政治・経済・文化・科学技術の各分野で、再び重要なパートナーとなっています。今後も相互交流はますます活発となり、重要度は増してゆくことでしょう。

しかし、相互理解のためには、歴史や文化的な伝統を十分に理解することが肝要です。その国の言葉を学び、人々の考え方を知り、文学、演劇、映画などに親しむことによって、初めて深い相互理解に到達するのです。

また、中国は単に歴史が長いだけでなく、国土が広く地域性に富み、多くの民族が暮らしています。19世紀の半ば以降には、西洋文化の流入などによる著しい社会変化も生じています。こうした多様な文化が混じり合うるつぼのような状態は、今もなお継続しており、新たな中国の文化的伝統を産み出しつつあると言えます。こうしたことから、私たちのコースでは、変容をとげゆく中国文化の本質を多角的にとらえるため、中国の文化全般にわたる幅広い分野を教育・研究の対象としています。

中国に関心を持つきっかけは、中国語でも、中国の文学、映画でも、また中国の自然でも構いません。どんな入り口から入っても、中国の世界は広い奥行きと刺激的な魅力を持って、みなさんを迎えてくれるはずです。そして本コースのスタッフは、みなさんの中国世界の探求の道案内をつとめることをお約束します。

次にカリキュラムについて申しますと、まず「中国語中国文学概論A~D」で全体的な知識を身につけ、2~3回生向けの「基礎演習」、「中国語コミュニケーション1~4」と3~4回生向けの「演習」で、現代中国語の基礎力、古典文学の読解力を身に着け、辞書などの工具書の使い方、および研究方法を学びます。また3~4回生向けの「特講」で、やや専門的な知識や新しい研究分野についての知識も得られます。そうした基礎の上に、4回生で卒業論文指導を受けつつ、大学での勉強の総決算として、卒業論文の執筆に当たることになります。講義科目でも参考文献などを読んで積極的に知識を身につけることが必要ですが、演習科目ではよりしっかりとした予習が必要です。そうして自分から積極的に学ぶ姿勢が、みなさんの大学生活を有意義にすることは言をまたないでしょう。

 

2 スタッフ

現有スタッフは、文化論1名、語学1名、文学1名の3名です。

新民 教授 (文化論) 

中国語圏の映画の歴史を研究しています。これまで、1930年代における映画政 策、「軟性映画」理論、第五世代監督作品などについて研究を進めてきました。 最近は、日中戦争期における上海、東北、台湾といった地域での映画制作や上映 状況また映画政策についても研究しています。

大岩本 幸次  教授 (語学)

中国字書編纂史および字音史の観点から、金代(11151234)の資料が字書史上 に果たした役割や意義、また金・南宋・元の時代の言語音体系といったテーマで 研究を行ってきました。近年は本邦や欧州の字書・漢語文法書を対象として中国 理解の諸相に関する研究を進めています。

 准教授 (文学)

唐代文学、特に晩唐に活躍した詩人杜牧について、杜牧が著した『孫子』注釈書 に見られる思想と文学作品との関連や、政変に対する彼の処世態度など研究して います。また、唐・宋時代の詩詞に使用される俗語に着目し、それぞれの用法や 変遷についても研究を進めています。

 

3 大 学 院

卒業論文のテーマをもっと深く掘り下げたいと希望する人には、大学院に進む道が開かれています。博士前期課程(2年間)と博士後期課程(3年間)の二段階制になっていますが、特別な人だけが進学する敷居の高い世界だと考えないで、どしどし積極的に挑戦してほしいと思います。自分の研究テーマをもち、基礎学力を備え、勉強に対する意欲のある人なら誰にでも門は開かれています。

博士前期課程の段階では、中国というフィールドの奥深さと、多様性にまず触れたうえで、研究の土台を築くことが求められます。博士後期課程では、更に一歩進んで自分自身の問題意識をより鮮明にして、本格的な研究活動をスタートさせます。指導する教員スタッフは、これまで蓄積された先行研究を咀嚼したうえで、新たな研究成果を紡ぎだし、次世代の研究者へと伝えることを自らに課しており、新たな視点からの絶えざる探究を使命としています。また、課外には教員や院生のみならず、OB・OGや他大学研究者を交えた研究会、勉強会が多く開かれ、活発な研究活動を展開しています。

  

4 卒業後の進出分野

かつては高等学校の国語教員となり、漢文や日本古典を担当する人が多かったのですが、近年はその割合が減り、企業や官公庁に就職する人が増えてきました。語学力と専門的知識を活用している卒業生がいる反面、それとはほとんど関係のない仕事を選ぶ人もいてさまざまです。また、大学教員については先述しましたが、ほかにも外国語科教育法(中国語)などを修めることで、学部卒業生にも高等学校で中国語を教える道が開かれています。

 

5 メッセージ

以上、限られた字数で私達のコースの紹介を試みましたが、もっと情報を得たい人は、中国語の時間などに専任教員をつかまえて遠慮なく尋ねてください。また、いつでも文学部棟3階の共同研究室(323)を覗いてみてください。学生、院生でとても賑やかで、皆さんを「熱烈歓迎」してくれるはずです。