ビタミンの健康科学研究
ビタミンと健康の深い関わり
ビタミンは、人体の機能を正常に保つために必要な有機化合物ですが、その必要量は極めて微量であるものの、生体内で十分に合成できないため、外部から摂取しなければならない栄養素です。これまでにも種々のビタミンと健康並びに疾患との関係について、様々な報告があります。しかし、薬剤に比べると栄養素としてのビタミンの作用は小さく、疾患予防のところで役立ちます。つまり、一見健康な状況における潜在的なビタミン不足が疾患に関係します。従って、未病状態においてビタミン栄養状態を望ましい状態に維持・改善することが有用であることが考えられますが、特に日本においてヒトを対象とした研究が乏しい実情にあります。
健康科学イノベーションセンターと桒原先生とのビタミン D 欠乏判定簡易質問票(The Vitamin D Deficiency Questionnaire for Japanese: VDDQ-J)に関する共同研究成果
ビタミンのうち、様々なライフステージにおける健康に関係する報告があるのはビタミンDです。骨折といった骨の健康のみならず、いわゆる生活習慣病や筋力、そして感染症などへの関係が示唆されています。一方、我が国でもビタミンD不足・欠乏者は極めて多いですが、何ら自覚を伴わないため、見過ごされてしまいます。健康への取り組みの最初のステップとして、自身の栄養状態を理解することが必要です。しかし、ビタミンD栄養状態を把握するには、通常は採血をし特殊検査をする必要があります。そこで、簡単な質問に回答することで、自身のビタミンD欠乏リスクを推定できる質問票を開発しました。
日本人のためのビタミン D 欠乏判定簡易質問票(VDDQ-J)
若年女性のためのビタミンD欠乏リスクスクリーニング票ViDDPreS(Vitamin D Deficiency Predicting Scoring)
近年、妊婦のビタミンD栄養状態が、妊娠合併症のリスクとなることや、低出生体重児の出産に関係することが報告されています。そこで、より若年女性に特化したスクリーニング票も開発しました。次世代の健康を守るためにも、個人、集団のビタミンD欠乏リスクを把握し、早期から改善に取り組むきっかけをつくるためのツールです。
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その他、当研究グループでは、B群ビタミン等の測定も行っており、
総合的なビタミン栄養学研究を行っております。
VDDQ-J質問票やビタミンに関する共同研究などのご相談はこちらまで
【PROFILE】 桒原 晶子
大阪公立大学大学院 生活科学研究科 教授。
「日本人の食事摂取基準 (2025年版)」策定検討会ワーキンググループ構成員 (脂溶性ビタミン)。
脂溶性ビタミンを通じた健康維持、疾患予防に取り組むべく、ヒト対象の栄養学研究をおこなっている。