子どもの疲労・ウェルネス研究
夜中まで子どもたちの声が響く。夜中でも明るい街灯の下に子どもたちの姿が見える。
この状況に違和感を覚える方も少なくないと思います。
学校の始業時刻は固定化されているため、十分な睡眠時間を確保し、疲れをとり朝すっきりとした目覚めを得て意欲的な1日を送るためには、早く眠る必要があります。しかしながら、大人の残業時間と変わらないほど夜遅くまで活動し続けている子どもたちの残業型生活が固定化されている例も少なくなく、慢性的な睡眠不足から慢性疲労状態に陥り、学習意欲が湧かない子どもたちがいます。そして、慢性疲労状態は子どもの脳機能の発達にも影響を及ぼすことが、私たちの研究からも明らかになってきています。
※子どもウェルネスとは
精神的にも身体的にも健康な状態ということだけでなく、子どもたちが、もっと前向きに、活き活きと、意欲的に充実した日々を過ごし、
多様な脳力/能力/個性、知性、感性や社会性などの創造性豊かな世界観を育む幅広い概念のことです。
【PROFILE】 水野 敬
大阪公立大学健康科学イノベーションセンター特任教授/副所長。
疲労科学と脳神経科学に基づき、子どもたちの慢性疲労、睡眠、学習意欲、脳の機能と発達および家族の関わり、と幅広い観点から子どもの健康科学研究を推進している。
著書に『疲労と回復の科学』(日刊工業新聞社, 2018年)、『おいしく食べて疲れをとる』(オフィスエル, 2016年)など。