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2022年11月末に公開されたChatGPTは、驚異的な普及速度で社会に大きな影響を与えつつあります。そして、教育の場においては、教育と学習を大きく変えるという期待以上に、学生による不適切な利用への懸念や不安が高まっています。そこで本ガイドは、ChatGPTをはじめとする、いわゆる生成AIツール(以下、AIツール)について、本学の教員がどのように対応すべきかを考えるための参考資料として作成されました。
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授業内外での学生によるAIツールの使用については、
という点に注意を払う必要があります。その上で、
ということが必要です。また、今後は、AIの利活用が進む社会の中で、学生が真に身に付けるべき能力は何かを再検討しながら、教育の場でのAIツールの有効活用も含め、授業設計を継続的に見直していくことが必要です。
教員が今できることとしては、以下が挙げられます。▶ マークをクリックして各項目のアコーディオンを開くと、詳細説明が表示されます。
以下では、主にChatGPTについて、基本的な事柄をまとめておきます。更に理解を深めるには、実際に使ってみることをお勧めします。
ChatGPTは、OpenAI社によって開発された、対話型AI (Artificial Intelligence:人工知能) です。質問や依頼を文章として対話的に入力すると、ChatGPTは、
などについて、場合によっては驚くほど高いクオリティの回答(コンテンツ)を生成します。
ChatGPTは、しばしば、デタラメな回答や間違いを含む回答をすることが知られています。また、専門性が高い質問や、最近の情報に関する質問は、(今のところ)苦手です。
ChatGPT等AIツールが生成するコンテンツは、人間による「創作的な寄与」がなければ著作物とは認められない、との考えが一般的です。生成コンテンツをそのまま、あるいは、少し手を加えただけで自分の創作物として発表することは、不適切と考えるべきでしょう。 なお、Open AI社の規約では、生成コンテンツの権利は、すべてユーザに渡すとされています。
ChatGPTは、他者が著作権を有するテキストデータも用いて事前学習を行っていると言われており、ChatGPTの回答(生成コンテンツ)は、著作権を侵害する内容を含む可能性があります。
ChatGPTにユーザが入力した内容は、ChatGPT自身の強化学習に利用される場合があります。個人情報や職場の秘匿情報が他のユーザに漏洩するリスクがあるため、これらの情報をChatGPTに、直接、入力することは、避けるべきです。
※ユーザー設定で「Chat Histroy & Training」をオフにすれば、入力内容が強化学習に利用されなくなりますが、会話履歴が残らなくなってしまいます。
ChatGPTを活用した外部サービスやツールが数多く現れていますが、これらの多くは、信用性・信頼性が不明です。そのため、利用には、常に情報セキュリティ上のリスクが伴います。
ChatGPT等のAIツールが生成したコンテンツを検知するツールがいくつも発表されています。例えば、本学の授業支援システム(Moodle)に導入されているfeedback studioプラグインには、お試しとして2023年度限定で、英文のみ対応のAIライティング検知機能が追加されています。ただし、完全な検出は困難ですので、おおまかな現状を把握する用途にとどめるべきでしょう。
ChatGPT自身が抱える問題点、そして、時にはその便利さが、教育・学習の場に悪影響を及ぼしうることに注意する必要があります。その一方で、ChatGPT等AIツールは、あらたな教育・学習ツールとして大いなる可能性を秘めていることも確かです。
※有料版ChatGPTと同じ技術基盤上に構築されているBing AIは、(今のところ)無料で利用することが可能です(要Edgeブラウザ/Bingアプリ & Microsoftアカウント)。また、2023年5月に日本語利用が可能になったGoogleのBard(要Googleアカウント)も、(今のところ)無料で利用することが可能です。
ChatGPTと教育に関して、更に深く知りたい方は、東京大学工学系研究科 吉田塁先生がまとめているwebページが参考になるでしょう。
ChatGPT・AIの教育関連情報まとめhttps://edulab.t.u-tokyo.ac.jp/chatgpt-ai-resources/
授業外でのAIツールの利用を完全に止めることは困難ですが、一方で、AIツールの利用を単に黙認するだけでは、本来学生が身につけるべき能力(学修成果)が身に付かない恐れがあります。そこで必要となるのが、学生への説明です。
「〇〇について調べ、レポートにまとめよ」といった単純な課題のレポートは、AIツールがまるまる出力できてしまう可能性があります。また、全部ではなくても、一部をAIツールに書かせたり、下書きをAIツールに任せたり、といったことも、今後は増えていくでしょう。そのため、場合によっては、課題の目的などを踏まえつつ、課題内容を再検討する必要があるでしょう。以下、いくつかの対応例を挙げます。
学生によるAIツールの不正使用を完全に止めることは難しいでしょう。また、AIツール使用の有無を完全に検知することも困難です。そのため、成績評価(到達目標達成度評価)の際、授業外で作成する学修成果物(レポートや作品)に過度に依存している場合は、その評価方法を再検討する必要があるでしょう。
授業外成果物(レポートや作品)の評価と、それ以外の評価とを組み合わせて成績評価している場合は、ひとまず成果物評価の割合を下げ、AIツール利用の影響を抑えることが考えられます。ただし、本質的な解決策ではないため、他の方法を継続的に検討していく必要があります。
AIツール利用の影響を完全に避けるためには、対面の状況下で、ペーパーテスト・口述試験・レポート作成・作品制作・パフォーマンス評価などを行うことが考えられます。授業1回分の時間だけでは足りなくなる場合は、通常の授業時間数を減らし、その分を非同期型オンライン授業(オンデマンド授業)などに代えるのも一つの方法です。
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